こんにちは、松本洋紙店スタッフです。
多業種にわたる松本洋紙店ご愛用者さまから、今回は
アマチュア写真家 宮崎豊さまにご協力をいただきお話をお聞きしました。
長く写真用紙をご愛用くださってます。
ニッコールクラブキャッスル大阪支部長・「写団蟲」代表を務めてらっしゃいます。
貴重な作品を4点、掲載させていただきました。
ぜひご一読くださいませ。
Q:プロフィールをお教えください
1949年 大阪市生まれ
2009年 新宿ニコンサロン・大阪ニコンサロンで個展開催
その他グループ展多数開催
2018年 ニッコールフォトコンテスト長岡賞受賞
2022年 第29回酒田市土門拳文化賞奨励賞受賞
写真は1964年から始めました。中学3年生の頃です。兄が大学生で写真部に所属していて、家でフィルム現像をしていたのを見て興味を持ったのがきっかけです。祖父も写真をしていたので、もともと身近にあったと言えるかもしれません。
仕事を始めてからは、ストレス発散に週末になると写真に取り組むという生活になりました。気軽に始められる写真の世界ですが、本当に奥が深い。今でも全く飽くことなく写真に夢中です。
Q:どんな思いで撮影されてらっしゃるのでしょう
若いうちはとにかく撮っていましたが、だんだん写真が読めるようになるというか、見方が変わってきます。「きれい」で終わらず内面を読み取るようになる。そして、その瞬間、自分が感じていることを表現できるようになってきます。
本来は組写真が一番自分を表現できるのかな、と思っています。例えばニコンサロンで個展を開いた際は、自分のふるさとを象徴する淀川への思いとその美しさを表現するため、自家製ピンホールカメラを使い、バライタ印画紙で現像をしました。42枚の作品すべて、ピンホールだと濃度が違うわけです。それを更に、乾燥するまで露光が決まらないバライタ印画紙で現像するわけですから、何枚無駄にしたかわかりません。
今でもプリントしたものを何日か並べて置いておきます。そうすると、この色調はちょっと違うかな、というような微細なことに気づくんです。自分の表現に対しては妥協はするべきでないと思っています。納得するまで取り組むことで、見えてくる世界がありますし、見る人に伝わるものになると思うのです。
Q:今回の作品について一言ずつお聞かせください
写生
大阪城公園で写生をされている人の、キャンバスに写った手の影に魅かれて撮影させていただきました。
淀川冬景
淀川河川敷に生えた野草の冬枯れの風景が別世界のように感じ、撮影したものです。
不思議な光
屋根の無い地下通路において、西日がビルのガラスに反射して不思議な世界を醸し出し、そこでの子供たちの姿に魅力を感じ撮影させていただきました。
盆の頃
奈良地方における盆の行事で、夕景の光とロウソクの光に魅力を感じ撮影させていただきました。
Q:カメラやプリンタ等こだわりはありますか?
【使用カメラについて】
2006年より銀塩からデジタルに移行、現在はニコンデジタルカメラD850をメインにD750をサブとして使用しています。
2009年ニコンサロン展示作品は、自家製ピンホールカメラで4×5銀塩モノクロフイルムを使用し、バライタ印画紙で現像しました。
【プリンターと用紙について】
プリンターはエプソンSC-PX1Vを使用。
用紙は松本洋紙店の写真用紙絹目調・印画紙を愛用(サイズB4・A4)しています。この用紙を使い始めた理由は、B4サイズがあったことです。
【モニタについて】
カメラからパソコンに取り込んだデータについては、フォトショップで基本的なレタ
ッチをします。過剰とならないよう注意し、自分のイメージに近づけるためにはモニターも大事です。画像編集に適したものを使用しています。
Q:写真ってひとりで取り組むようでなんだか楽しそうですね
現在はコロナ禍でできませんが、例えばニッコールクラブの支部として例会を毎月していたんですね。9:30から17:00までと長丁場なのに20名を超える方々が毎月集まって、しかもずっといらっしゃるんです。そんな長い時間退屈しないのかな、と思ったりもしますが笑、終わってからも喫茶店でまた写真談義に花を咲かせて、と。本当にみなさん写真が好きなんだな、と実感します。
自分の作品を仲間に見せて感想を聞いたり、他の人の作品からそういう視点もあったのか、と刺激を受けたり、みんな決してけなしたりせず、敬意を払ってお互いの作品を大事にしています。その場に集って時間を共にし、仲間と写真の話をする。ひとりで作品づくりに取り組んでいても、仲間からどんな反応を貰えるかな、というのが励みにもなる。そうやって自分の作品も広がりを持ち、深まり、誰かがコンテストに入賞すればみんなで喜ぶことができる。
例えば退職して時間ができたから写真を始めてみたい、という方も、写真と言うのは気軽に始められるので一緒に楽しむことができます。そしてシンプルなのに奥が深いので長く続けていても飽きることがない。しかも人とのつながりが広がる。実に面白い、のです。
Q:今後の作品づくりについてお聞かせください
コロナ禍で今までのように撮影ができないので、今までの作品を見直しています。まとめて発表したいという気持ちはありますが、時代の変遷で個人情報保護や肖像権の観点からなかなか難しくなっていることを感じています。これからの作品づくりは、そういった視点も必要になりますね。
松本洋紙店スタッフより
作品を最初にお送りいただいた日は梅雨空が重く、身体も気持ちも重く、と言った日でした。メールを開き、作品を目にしたら、さあっと重い雲が払われ、気持ちの淀みが一瞬で消えて行きました。もちろん雨が晴れになるわけじゃないのですが、雨の美しさに気付かされる感じと言いますか、視点がひっくり返ると言いますか。その変化に自分でも戸惑う感じでした。
今までの作品がお部屋にはたくさん積み上がってらっしゃるとか。スタッフは実は京都から新大阪に通勤していたことがあって、淀川には懐かしい思いを持っています。作品が積み上がっているところも見せていただきたかったな、なんて思いました。
様々な問題はありつつも、そこをくぐり抜けた作品集なのか展覧会なのか。楽しみにしております!
ちなみに宮崎さまご愛用の写真用紙、よろしければこちらからご覧ください。
フォトコンテストに使える写真用紙のページはこちら。