書類を印刷できるプリンターが持ち運べると、何かと便利です。営業職であれば、訪問先でお客様の要望を反映した見積書を作成して、その場で印刷してお渡しできます。ほかにも出張先のホテルで資料を作成して印刷したり、会議の内容をまとめて出席者に配布したりといった使い方も可能です。
スペックだけを比べると、据え置き型のプリンターの方が性能は高いのですが、やはり「持ち運べる」メリットは代替のきくものではありません。そこで、この記事ではモバイルプリンターのおすすめ5機種をご紹介します。
重視するポイントに絞って選ぶ!モバイルプリンターの選び方
持ち運ぶことが前提になっているモバイルプリンターは、小さくて軽いことが重要なポイントになります。本体を小さく、軽くするためには、据え置き型のようなさまざまな機能を詰め込むことはできません。多くの製品がプリント機能のみの単機能プリンターで、複合機は限られた機種のみとなります。
したがって選ぶときは、自分が重視したいポイントを絞って、それを満たすプリンターを探す必要があります。コンパクトで軽いことを重視するのか、画質や印刷速度を重視するのか、まず「自分にとって最優先したい機能は何か」を決めておきましょう。
おすすめプリンター5選
コンパクトで軽い エプソン「PX-S06」
前述したとおり、モバイルプリンターに求められる重要な性能の1つが、小さく軽いことです。エプソンのPX-S06は、この記事でご紹介するインクジェットタイプのモバイルプリンターのなかで、もっともコンパクトで軽量です。外付けバッテリーも販売されていて、装着すれば長時間の使用が可能になります。
【参考】
EPSON PX-S06
PX-S06の特徴
・コンパクトで軽い
本製品のサイズは、309×159×61mm。とてもコンパクトなプリンターです。重さは約1.7kgで2kgを切っています。外付けのバッテリーを追加しても、奥行が25mm増えて184mmに、重さも約300g増えて約2.0kgになるだけです。
・外付けバッテリーで印刷可能枚数が増やせる
本製品を内蔵バッテリーのみで駆動した場合、印刷可能枚数はA4約50枚です。外付けバッテリーを装着すれば、約410枚まで増やせます。
・5GHz対応で使い勝手が良い
本製品はWi-Fi接続ができ、Wi-Fi 5GHz帯にも対応しています。通信速度が早く2.4GHz帯の通信機器との電波干渉が起こらないため、快適に使用できます。自動接続機能があるので外出先でWi-Fiの設定をやり直す必要もありません。
PX-S06の仕様
●価格
参考:2万4800円(税込み・Amazon 22/2/21現在)
●ランニングコスト
A4カラー文書:約14.2円
A4モノクロ文書:約7.5円
●対応カートリッジ
ICBK82 ブラック
ICCL82 カラー
※ブラック約1500円~、カラー約1100円~(Amazon 22/2/21現在)
サイズと性能のバランスが良いキヤノン「TR153」
PX-S06よりは少し大きく重いのですが、印刷速度が上回っています。サイズと性能のバランスが良いモバイルプリンターです。写真も文書もキレイに印刷できるので、コンパクトな家庭用プリンターとしてもおすすめです。
【参考】
Canon TR153
TR153の特徴
・写真も文書もキレイに印刷できる5色ハイブリッドインク搭載
本製品には、にじみにくく文書をくっきり見やすく印刷できる顔料インクと、発色が良く写真をキレイに印刷できる染料インクの双方が搭載されています。顔料インクはブラック、染料インクはブラックとシアン、マゼンタ、イエローの4色で、合計5色です。
・モバイルプリンターでも印刷スピードが速い
本製品の本体サイズは約322×185×66mm、重さは約2.1kgです。コンパクトで軽いプリンターでありながら、カラー毎分5.5枚、モノクロ毎分9.0枚の印刷スピードがあります。ランニングコストもカラー約13.4円、モノクロ約6.9円と低く抑えられています。
・A4フチなし写真も印刷可能で大きな写真も楽しめる
本製品は、A4フチなし印刷にも対応しています。スマホやデジカメで撮影した写真を大きく印刷して楽しめます。モバイルプリンターは業務用途で使用されることが多いのですが、本製品は写真印刷にも優れたプリンターなので、家庭用のコンパクトなプリンターとしてもおすすめです。
TR153の仕様
●価格
参考:2万7500円(税込み・Amazon 22/2/21現在)
●ランニングコスト
A4カラー文書:約13.4円
A4モノクロ文書:約6.9円
●対応カートリッジ
BCI-19BK ブラック
BCI-19CLR カラー
※ブラック約1100円~、カラー約1500円~(Amazon 22/2/21現在)
プリンターとしての基本性能が高いHP「OfficeJet 200 Mobile(CZ993A#ABJ)」
HPのOfficeJet 200 Mobileは、これまでにご紹介したエプソンやキヤノンの製品と比べるとややサイズが大きい製品です。持ち運びには難もありますが、印刷スピードが速く、プリンターとしての基本性能は高いです。普段はデスク周りに置いて使い、必要なときだけ持ち歩くといった使い方がおすすめです。
【参考】
HP OfficeJet 200 Mobile(CZ993A#ABJ)
OfficeJet 200 Mobile(CZ993A#ABJ)の特徴
・モバイルでありながら高い印刷性能
本製品は今回、ご紹介しているプリンターで最速のカラー毎分7枚、モノクロ毎分10枚の印刷スピードがあります。大容量インクカートリッジにも対応していて、カートリッジ交換なしでカラー約415枚、モノクロ約600枚の印刷が可能です。
・別売のバッテリーを装着すれば大量印刷も可能
本製品はバッテリーがオプション扱いで別売ですが、内蔵できるスペースが本体に確保されています。バッテリーを装着すれば、電源がない場所でもバッテリーのみで最大415枚の印刷が可能です。
・ブラックインク、カラーインクだけでも印刷できるバックアップ機能搭載
本製品にはブラックとカラーの2つのインクカートリッジを装着します。どちらか一方のインクが無くなっても、一方のインクだけで印刷を継続できる機能を搭載しています。モノクロ印刷がメインの人は、ブラックインクのカートリッジだけを装着して使えます。
OfficeJet 200 Mobile(CZ993A#ABJ)の仕様
●価格
参考:2万7000円(税込み・Amazon 22/2/21現在)
●ランニングコスト
A4カラー文書:約14.6円
A4モノクロ文書:約6.0円
●対応カートリッジ
C2P04AA ブラック
C2P05AA ブラック(増量)
C2P06AA カラー
C2P07AA カラー(増量)
※ブラック約2000円~、ブラック増量約3000円~、カラー約1900円~、カラー増量約3400円~(Amazon 22/2/21現在)
持ち運べるサイズの複合機HP 「OfficeJet 250 Mobile AiO(CZ992A#ABJ)」
モバイルプリンターではめずらしい、コピーやスキャンができる複合機です。多機能な分、一般的なモバイルプリンターよりもサイズも重量もありますが、持ち運べるサイズの複合機は貴重な存在です。
【参考】
HP OfficeJet 250 Mobile AiO(CZ992A#ABJ)
OfficeJet 250 Mobile AiOの特徴
・プリンターとして高い基本性能
本製品のプリンターとしての性能は、OfficeJet 200 Mobileと同等です。カラー毎分7枚、モノクロ毎分10枚の印刷速度があり、大容量インクカートリッジでカラー約415枚、モノクロ約600枚の印刷が可能です
・ADF搭載で手間なくコピーやスキャンが可能
コピーやスキャンをするときには、ADF(自動原稿送り装置)を使用します。原稿10枚までセットでき、自動でデータを読み込むことができます。PDFやJPEGなどファイル形式の選択も可能です。
・モバイルプリンターとして大きなサイズ
本製品の欠点は、モバイルプリンターとしては大きいことです。380.2×198.3×91.3mmの大きさがあります。重さも2.96kg、別売のバッテリーを装着すると3.06kgで3kgを超えます。自動車で移動する人は、それほど気にならないかもしれませんが、徒歩や公共交通機関を使う人は、この点をよく検討してから購入してください。
OfficeJet 250 Mobile AiOの仕様
●価格
参考:3万8000円(税込み・Amazon 22/2/21現在)
●ランニングコスト
A4カラー文書:約14.6円
A4モノクロ文書:約6.0円
●対応カートリッジ
C2P04AA ブラック
C2P05AA ブラック(増量)
C2P06AA カラー
C2P07AA カラー(増量)
※ブラック約2000円~、ブラック増量約3000円~、カラー約1900円~、カラー増量約3400円~(Amazon 22/2/21現在)
小さく軽い熱転写式プリンター HPRT「MT800」
本製品は、これまでご紹介してきたプリンターとは印刷方式が違う熱転写式の製品です。インクカートリッジではなく、専用のインクリボンを使います。モノクロ印刷しかできませんが普通紙への印刷も可能で、小さく軽い点が大きな特徴となっています。
【参考】
HPRT MT800
MT800の特徴
・小さく軽く普通紙に印刷可能
本製品は310.5×63.5×39.5mmのサイズで、インクジェットタイプのプリンターよりもかなり小型です。とくに奥行きは半分以下のサイズしかありません。重さはインクリボンを搭載した状態でも766gで1kgを切っています。普通紙に印刷可能なプリンターとしては極めて小さく軽い製品です。
・データはBluetoothとUSBで転送、用紙は自動取り込み
本製品はBluetooth対応で、USBケーブルでの接続もできます。印刷は、用紙を1枚ずつ挿入して行います。取り込み口に用紙をセットすると自動的に取り込まれます。
・印刷速度はインクジェット式にやや劣る
印刷速度は毎秒15mm、A4用紙の縦が297mmなので、297÷15=19.8となりA4用紙を約20秒で印刷できる計算です。毎分3枚程度の印刷速度で、本記事でご紹介しているインクジェットタイプよりも印刷速度は劣ります。バッテリー内蔵で、連続70枚の印刷が可能です。
MT800の仕様
●価格
参考:2万5599円(税込み・Amazon 22/2/21現在)
●ランニングコスト
A4モノクロ文書:約25.5円
※Amazon販売価格を基に、リボン1本で45枚を印刷できるものとして独自に算出
●対応インクリボン
※インクリボン2本で約2300円~(Amazon 22/2/21現在)
番外編 感熱紙に印刷するプリンター
本記事では、普通紙に印刷できるモバイルプリンターをご紹介していますが、熱に反応して色が変わる「感熱紙」に印刷するタイプのモバイルプリンターもあります。例えば、ブラザーのPJ-763は、普通紙の印刷はできませんが、A4サイズの感熱紙に印刷できます。
また、感熱紙対応のプリンターには、さらに小型で納品書や領収書などの帳票の印刷に適した製品もあります。キヤノンのBP-100は、このタイプです。
感熱紙は普通紙に印刷した場合よりも文書の保存性が劣る場合がありますが、プリンターは小さく軽量です。用途によっては便利な製品となるでしょう。
モバイルプリンター5機種のスペック比較表
製品名 | PX-S06 | TR153 | OfficeJet 200 Mobile(CZ993A#ABJ) | OfficeJet 250 Mobile AiO(CZ992A#ABJ) | MT800 |
---|---|---|---|---|---|
メーカー | エプソン | キャノン | HP | HP | HPRT |
発売年 | 2019年 | 2020年 | 2016年 | 2016年 | 2020年 |
参考価格 | 2万4800円 | 2万7500円 | 2万7000円 | 3万8000円 | 2万5599円 |
本体サイズ(幅×奥行×高さmm) | 309 × 159 × 61 |
322 × 185 × 66 |
364 × 186 × 69 |
380.2 × 198.3 × 91.3 |
310.5 × 63.5 × 39.5 |
カラー 印刷速度 (A4文書 毎分) |
4枚 | 5.5枚 | 7枚 | 7枚 | ― |
モノクロ 印刷速度 (A4文書 毎分) |
7枚 | 9枚 | 10枚 | 10枚 | ― |
印刷解像度(dpi) | 5760×1440 | 4800×1200 | 4800×1200 | 4800×1200 | 300 |
Wi-Fi | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | × |
自動両面 印刷 |
× | × | × | × | × |
最大用紙 サイズ |
リーガル | リーガル | A4 | A4 | A4 |
最大給紙 枚数 |
20枚 | 50枚 | 50枚 | 50枚 | 1枚 |
カラー 印刷コスト (A4文書) |
約14.2円 | 約13.4円 | 約14.6円 | 約14.6円 | ― |
モノクロ 印刷コスト (A4文書) |
約7.5円 | 約6.9円 | 約6.0円 | 約6.0円 | ― |
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今回はモバイルプリンターのおすすめ製品をご紹介しました。モバイルプリンターは持ち運べるサイズ・重さという制約があるため、据え置き型に比べると機能が制限されます。
据え置き型以上に、自分に必要な機能を見極めることが重要になります。本記事を参考に、自分にとってベストなプリンターを選んでください。