古くから地理情報を伝える、表現技法のひとつとして製作されてきた“地図”。私たちの生活には欠かせないものですよね。
地図はより多くの人に伝えるため、日本では近世(17~18世紀)に印刷物として製作されるようになりました。やがて民間での印刷・出版技術の拡大により、いろいろな種類の地図や地誌(特定の地域の地理的現象について書かれたもの)が登場します。そして近世後期には、伊能忠敬による近代的な地図が作られました。
「地図と印刷」は、日本の近世を中心に、地図や地誌づくりにおける印刷と人々との関わりを紹介する企画展です。この記事では、その情報をお伝えしてきます。
「地図と印刷」展はどんな展示内容?
展示内容は、第1部から第3部に分かれています。
第1部は「日本の印刷地図のはじまりと文治の展開」。日本において印刷された地図の始まりは、中世の百科事典ともいえる『拾芥抄(しゅうがいしょう)』の中にある図でした。元禄期には石川流宣の『日本海山潮陸図』が日本図のスタンダードになるなど、地図が大衆化していきます。
第2部は「地誌の大成と拡がる世界」。学問が尊重される文治政治の下、江戸時代を通じて地図や地誌づくりが行われてきました。なかでも長久保赤水による日本図(赤水図)はベストセラーに。その一方で蘭学の発展とともに世の中の関心は世界へ向けられ、西洋の地理知識が取り入れられるようになります。
第3部は「世界との接近と伊能図の衝撃」。江戸後期にはロシアの南下をはじめ、西洋列強と日本が急速に接近していきます。伊能忠敬が作った日本初の実測日本地図(伊能図)は、その精度の高さから国家機密とされましたが、国外へと情報が伝わり、日本には印刷物として逆輸入されました。
伊能忠敬が作った地図の印刷物も展示!
「地図と印刷」の展示概要は、以下の通りです。
会期:2022年9月17日(土)~12月11日(日)
会場:印刷博物館
所在地:東京都文京区水道1丁目3番3号 トッパン小石川本社ビル
アクセス(電車の場合):
・東京メトロ有楽町線 江戸川橋駅より徒歩約8分
・JR総武線、東京メトロ有楽町線、東西線、南北線、都営大江戸線 飯田橋駅より徒歩約13分
・東京メトロ丸ノ内線、南北線 後楽園駅より徒歩約10分
開館時間:10時~18時(入場は17時30分まで)
休館日:月曜日(祝日・振替休日の場合は翌日)
入場料:一般500円、学生300円、高校生200円、中学生以下および70歳以上は無料
※11月3日(文化の日)は入場料無料
また、講演会も次の日程で開催されます。いずれも無料ですが、事前申し込みが必要です。
「絵図から地図へ」
上杉和央(京都府立大学文学部准教授)
日時:2022年10月22日(土)14:00~15:30
「松平定信の外交-北の国から 1792来航」
杉本竜(桑名市博物館 館長)
日時:2022年11月5日(土)14:00~15:30
「水戸藩地図製作者の系譜-長久保赤水から横山大観の父と伯父へ」
小野寺淳(放送大学茨城学習センター所長・特任教授)
日時:2022年11月26日(土)14:00~15:30
「絵図・地図が語る景観-景観研究への招待-」
橋本直子(元葛飾区郷土と天文の博物館学芸員)
日時:2022年12月3日(土)14:00~15:30
【参考】
印刷博物館「地図と印刷」
「地図と印刷」の開催に合わせて、VR(バーチャルリアリティ)シアターでは「伊能忠敬の日本図」が週末のみ上映されています。伊能図の高精細なVR映像で日本各地を巡れるなんて、想像しただけでわくわくしませんか? 土日にお出かけの際には、ぜひ展示も映像もお楽しみください!
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