紙は現代でこそ工場で生産されるのは当たり前になっていますが、日本で機械による大量生産が実現したのは明治時代からです。その中でも、一番大きい工場を作ったのが「抄紙会社(しょうしがいしゃ)」でした。
西洋式の技術を使って紙をつくる会社、抄紙会社が設立されて来年で150年を迎えます。東京・王子で開業した抄紙会社は、日本の近代製紙業の原点となりました。この記事では、紙の博物館で開催中の抄紙会社設立150年を記念した「抄紙会社開業」展をご紹介します。
渋沢栄一が実業家として初めて手がけた機械工場
抄紙会社は、近代日本経済の父といわれる渋沢栄一が民間の実業家となって初めて手がけた機械工場でした。渋沢氏は、明治維新後の日本には新聞や書籍の普及が重要だと考え、日本に近代製紙業を発展させました。
東京・王子には、製紙のために必要な水(千川用水)や交通・運搬のための川(石神井川)があり、製紙業にとって最適な条件がそろっていました。海外の最新施設や技術を取り入れた抄紙会社は、文明開化の名所としても人気を博し錦絵にも描かれました。
その後、王子製紙(株)王子工場と社名を変えた抄紙会社は、工場を拡張させ印刷用紙や筆記用紙など生産し続けました。しかし、昭和20年の空襲によって大きな被害を受け、廃止されました。
抄紙会社開業期の貴重な資料が見られるチャンス!
焼け残った王子工場の一部を使って開館したのが、抄紙会社の貴重な資料を収蔵している現在の紙の博物館です。「抄紙会社開業」展では、抄紙会社設立から開業式前後の時期を取り上げ、王子に近代製紙業が花開いた背景を当時の史料とともに展示しています。
「抄紙会社開業」の展示概要は、以下の通りです。
会期:2022年9月17日(火)~12月18日(日)
※期間中、展示替えがあります。
会場:公益財団法人 紙の博物館 4 階企画展示室 (展示コーナー)
アクセス(電車の場合):
JR京浜東北線 王子駅南口下車 徒歩約5分
東京メトロ南北線 西ヶ原駅下車 徒歩約7分
開館時間:10時~17時(入館は閉館の 30 分前まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は開館)、9/20(火)、9/21(水)、9/27(火) 10/11(火)、10/12(水)、11/4(金)、11/24(木)、12/1(木)
入館料:大人400円/小中高200円 ※身体障がい者手帳、愛の手帳(療育手帳)または精神障がい者福祉手帳を お持ちの ご本人は無料、介助の方は半額となります。
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日本の紙の発展に大きな影響を与えた、抄紙会社の歩みを知れる貴重な機会です。紙の博物館では、常設展示やイベントなどもあるので、ぜひこの機会にお出かけください。
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