サラリーマンを描いた漫画は数多くありますが、なかでも時代を越えて愛される不朽の名作が「島耕作」シリーズです。読んだことはなくても、名前は聞いたことがあるという人も多いのではないでしょうか。
この記事では、サラリーマンの金字塔「島耕作」シリーズの最初の作品「課長 島耕作」をピックアップ。見どころや名言をご紹介します。
「課長 島耕作」とは
「課長島耕作」は、40年間続いた「島耕作」シリーズの第1弾。大手電器メーカー「初芝電器産業」に務めるサラリーマン・島耕作が課長に昇進するところから物語は始まります。当初の島耕作は34歳と、同期より比較的早く昇進したものの、小心で仕事にそこまで傾倒しているわけではない、ごく平凡なサラリーマンです。しかし、誠実で男女ともに惹かれる人柄と、真摯に仕事に打ち込む姿勢が周囲に評価され、さまざまな困難にあいながらもサラリーマンとして成長を遂げていきます。
「課長 島耕作」が連載されていたのは1983年~1992年。安定成長期からバブル景気期、そしてバブル崩壊前まで、当時の日本経済の動向がそのまま作中にも反映され、大企業間の競争や内部の派閥争いなどを通して、団塊の世代のリアルな実態が描かれています。
「課長 島耕作」のここが見どころ
シリーズ最初の作品である「課長 島耕作」の見どころは、主人公の島耕作が、読者が自分を投影しやすい等身大のサラリーマンとして描かれているところです。
最終的には大手企業のトップにまで上り詰める島ですが、課長となった頃はそこまで出世するとは考えられなそうなほど、ごく平凡なサラリーマンでした。初期ではとくに、課長昇進の内示を受けて浮ついたり、部下の女性に押し切られて関係を持ったりと、小心で流されやすく親しみやすいキャラクターとして描かれています。
仕事に対しても猛烈に打ち込むわけでもなく「会社は自己実現の場」という考え。嫌な仕事は無理にしない一方で、場合によっては残業や休日出勤もいとわず行う。そのバランス感覚のよさが、島を成功させ、多くの読者から共感とあこがれを持たれる所以なのです。
「課長 島耕作」の名言を紹介!
「課長 島耕作」のなかには、現代でもハッとさせられるような名言がたくさんあります。ここでは、数あるなかから、3つの名言をご紹介します。
「いやな仕事でえらくなるより、好きな仕事で犬のように働きたいさ」
派閥争いに巻き込まれた島は、2つの派閥から誘われるものの、どちらも拒否。同期から「出世したくないのか?」と問われ、島はこう返しました。島耕作の仕事に対する姿勢とプライドが伝わる言葉です。
「殆どのプライドは邪魔になるだけ。全く意味がないさ」
島が「この人にならついていける」と思った唯一の上司、中沢部長の名言です。大企業に務める社員の多くは、プライドを高く持っています。出世して上へいけばなおさらでしょう。
そんななか、中沢部長は不要なプライドは持たず、ときには自分が泥を被ってまで部下をフォローすることもありました。そんな中沢部長だからこそ島は心から尊敬し、ついていくと決めたのです。
「結果がいつも俺に味方するんだ」
左遷された先の事業所で大きなヒット商品に当たり、島は思わぬ評価を得ることになります。普通ならテンション高く喜んでもいいものを、島はいつもの飄々とした態度。
自身の幸運を認め、図に乗らず謙虚な姿勢が島らしいセリフです。
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サラリーマンなら一度は読んでおきたい「課長 島耕作」。1980年代~1990年代初期の時代がリアルに反映されたこの作品で描かれる島耕作の仕事に対する姿勢は、現代にも通ずるものがあります。古き懐かしき空気を感じながらもサラリーマンとして大切な心得を教えてくれる「課長 島耕作」の世界に浸ってみてはいかがでしょうか。