2024年11月に、Mastermind(マスターマインド)からハイブリッドレジンインク搭載のロールtoロールプリンター MMP-19000RIがリリースされました。一般的な水性レジンインクではなく、油性のインクを搭載した新発想のハイブリッドインクプリンターです。
この記事では、レジンプリンターの特徴なども含めて解説します。
Mastermindとはどんなメーカーなのか?
新発想のレジンプリンターMMP-19000RIを製造販売する Mastermindは、どんなメーカーなのでしょうか?
Mastermindは、1993年設立。長野県に本社を置く会社です。特殊プリンターの開発・製造・販売およびメンテナンスなどを事業内容としています。
この記事で紹介するレジンプリンターのほか、食べられるインクを用いて食品に文字や写真を印刷できる「フードプリンター」や、布素材に印刷できる「テキスタイルプリンター」のような特殊な用途のプリンターを開発しています。
レジンプリンターの特徴
レジンプリンターは、レジンインクを使用するインクジェットプリンターの一種です。レジンとは「樹脂」のことで、インクの中に樹脂粒子が添加されたインクがレジンインクです。レジンインクには、耐水性や耐光性、速乾性が高いなどの特徴があります。
印刷可能なメディアが豊富なことも、レジンプリンターの特徴の1つです。壁紙や普通紙はもちろん、溶剤プリンターで多く用いられている塩ビのフィルムや、ポリエステル製の布を合成樹脂で挟んだターポリンという生地にも印刷ができます。
レジンプリンターはこれまで、溶剤プリンターと比べて画質の点で劣るとされていました。しかし、現在では溶剤プリンターと遜色ない高画質化に成功しています。
ハイブリッドレジンインクを使用したMMP-19000RI

Mastermind社が昨年末に発売した最新モデルのMMP-19000RIは、ハイブリッドレジンインクを使用したロールtoロールプリンターです。一般的な水性のレジンインクを油性にすることで、レジンインクの特徴を維持したまま、速乾性を高めています。
ロールtoロールプリンターとは、印刷をするメディアがロール状になっていて、ロールからメディアを巻きだして印刷するタイプのプリンターを指します。印刷後のメディアを再度、ロール状に巻き取ることで、大量の印刷を連続して効率よく行えるのが特徴です。
MMP-19000RIは、ロールメディアだけでなく、熱を加えることができるメディアであれば、アクリル、アルミ、ガラスなどにも印刷できます。
MMP-19000RIの特徴
●速乾性に優れ環境にも優しい
ハイブリッドインクは、水性レジンインクよりも速乾性が高いのが特徴です。乾燥が早いため印刷直後にラミネート加工も可能で、短納期の仕事にも対応しやすくなっています。
ハイブリッドインクからも環境に悪影響を及ぼす可能性がある揮発性有機化合物(VOC)が発生しますが、溶剤インクの中でも低溶剤のエコソルベントインクと比較してもVOCが少量で環境に優しく、短時間で揮発します。
●低い熱で乾燥できる
レジンインクは熱を加えて乾燥・定着させますが、ハイブリッドインクは40~50℃の比較的、低い熱で乾燥させられます。熱の影響を受けやすい素材にも印刷可能なので、通常のレジンインクプリンターよりもさらに多様なメディアに印刷が可能です。
●インクジェット受容層のないメディアにも印刷できる
インクジェットプリンターを使って印刷するメディアには、その表面にインクが定着しやすい「受容層」が必要になるケースが一般的です。この受容層をインクジェットプリンター用に加工したメディアを「インクジェットメディア」と呼びます。

インクジェットプリンターには、使用するインクの違いによってさまざまな製品がありますが、このMMP-19000RIは、需要層のない非インクジェットメディアにも印刷が可能になっています。無加工のメディアを使ってコストを抑えたり、余ったメディアを有効に活用したりできます。
●対候性があり、ラミネート加工が不要
ハイブリッドレジンインクを使った印刷物には、高い耐水性、耐光性があります。これを使って屋内用の掲示物を制作する場合は、ラミネート加工の必要がありません。ラミネート加工を行う場合も、乾燥時間が短いので、印刷後に間を置かずに加工できます。乾燥を待つ時間が省けて、作業効率が上がります。
このハイブリッドレジンインクは、通常のレジンインクと同じく柔軟性があるので、ターポリンなどのメディアを使った横断幕や懸垂幕の印刷にも適しています。
●最大印字幅1900mmで2丁がけも可能
MMP-19000RIは、最大1900mm幅までの印刷が可能です。大きなサイズの印刷物が作成できるのはもちろん、印刷幅の広さを活かして2つの印刷物を同時に作成する「2丁がけ」も可能です。
●エプソン製のプリントヘッドを搭載
MMP-19000RIには、エプソン製のI 3200プリントヘッドが2個搭載されています。

1インチあたり約1200ノズルの高密度ノズルで、高品位の印刷を可能にしています。
MMP-19000RIのスペック表
製品名 | MMP-19000RI |
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メーカー | Mastermind |
発売年 | 2024年 |
印字速度 | 95㎡/h、50㎡/h、31㎡/h、23㎡/h |
印刷解像度(dpi) | 360×1200 2Pass、720×1200 4Pass、720×1800 6Pass、720×2400 8Pass |
最大印字幅(mm) | 1900 |
最大メディア幅(mm) | 1940 |
最大メディア積載 | 直径:195mm、重さ:50kg |
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Mastermind社が発売した、ハイブリッドレジンインクを搭載した最新プリンターMMP-19000RIをご紹介しました。
通常の水性レジンインクよりも、乾燥が早いハイブリッドレジンインクを採用し、乾燥時間を短縮して効率よく作業ができるメリットがあります。レジンプリンターの買い替えや新規導入を検討されている方は、選択肢の一つとして検討してみてください。
Mastermind では、MMP-19000RI-EというMMP-19000RIの兄弟機にあたる製品を1月に発売することを発表しています。こちらはハイブリッドレジンインク搭載機ではなく、エコソルベントインクを搭載した溶剤インクジェットプリンターです。溶剤インクジェットが気になる方は、こちらの製品もチェックしてみてください。
MMP-19000RIで使用できるロール紙は、松本洋紙店でも普通紙のほかにクロスやシールタイプ、フィルムといった多くの種類を取り扱っています。ロールtoロールプリンター導入の際は、ぜひ松本洋紙店をご利用ください。
兄弟機の溶剤インクジェットプリンター、MMP-19000RI-Eで使用できる溶剤用のロール紙も取り扱っております。
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