紙イベント情報

『くまのもの展』紙も隈研吾氏が対話を重ねた素材のひとつ

JR東京駅の丸の内北口にある、東京ステーションギャラリーにて、
2018 年3月3日(土)〜5月6日(日)に開催されていた
『くまのもの 隈研吾とささやく物質、かたる物質』の展覧会。
隈研吾氏といえば、新国立競技場の設計を担当している日本建築界のトップに君臨する建築家の一人です。これまでの作品には、六本木の「サントリー美術館」、銀座の「歌舞伎座」、表参道の「根津美術館」などがあります。

展示会の概要

まず公式サイトのコメントをご紹介させていただきます。

もう一度、様々な物質と、いきいきとした会話をはじめよう ――。
国内外で膨大なプロジェクトを抱えつつ疾走する世界的建築家、隈研吾(1954 ~)。
古今東西の思想に精通し、「負ける建築」「自然な建築」などの理念を実践してきた約30 年に及ぶプロジェクトを集大成して展観します。本展では特に、隈が仕事を通じて対話を重ねてきた素材に着目し、建築設計やプロダクトデザインなどの蓄積を、時系列ではなく主要なマテリアル(竹、木、紙、石、土など)ごとに分類・整理することで、“もの” という観点から概観を試みます。“もの” の開放によって、人の感覚や意識、そして環境を媒介する建築の可能性に迫ります。
東京ステーションギャラリーにおける建築関連の展覧会は「東京駅 100 年の記憶」展以来およそ3 年ぶり、建築家の個展としては「前川國男建築展」以来じつに12年ぶりとなるこの機会にご期待ください。
建築とは、結局のところ物質である。物質と人間との会話である。世界という得体のしれない大きさなるものが、物質という具体的存在を通じて、人間と会話するのである。物質が違うと、会話の仕方も変わり、こちらの気分も大いに変わってくる。20 世紀は、コンクリートのせいで、会話は固くなり、人間の表情もずいぶん暗くなった。
もう一度、様々な物質と、いきいきとした会話をはじめよう。
――隈研吾

みなさん、お気づきですか?
隈研吾氏が仕事を通じて対話を重ねてきた素材のひとつに、『紙』も含まれているのです。
この展示会では、いくつもの素材(マテリアル)が展示されていましたが、松本洋紙店スタッフとしては、紙を一番熱い想いを持って鑑賞させていただきました。
(ちなみにこの展示会は写真OKだったので、下手ながらもたくさん撮らせていただきました)

主要なマテリアルのひとつにあった『紙』

まず、展示の中に『紙』が含まれていたことに驚いてしまった私ですが、
隈研吾氏の説明によると・・・

やわらかいことが建築素材としての欠点ととらえることもできるが、僕らがめざすゆるい全体性を達成するために、やわらかさは武器になる。
建築全体をもっとやわらかく、ゆるくしていこうとした時に、紙はさらに活躍の場を拡げるだろう。

と、書かれていました。
ネット社会になりゆく時代に紙を売る者として、とても心強く、また嬉しい言葉でした。

もちろん言葉だけでなく、作品も素晴らしかったです。

強度のある手漉き和紙で作った『青海波(せいがいは)』

パルカナイズドペーパーを丸めた筒でトンネル状の空間を作った『ペーパーコクーン』

タマゴケースの応用である和紙のブロックを使って構造した『ペーパーブリック』


「和紙まぶし」のカゴにヒントを得た『Archives Antoni Clave』

他にもたくさんの紙の作品が展示されており魅了されっぱなしでした。
私たち松本洋紙店が販売している紙は、印刷用のものが多いですが、
もっと活用の幅を拡げ、何かを作る素材として、人々がもっと紙と触れ合う機会が増えるといいな、と心から思いました。
もちろん、竹やコンクリート、ガラスなど、他の素材の作品も素晴らしかったですよ。
以上、くまのもの展の感想でした。
↓なんだか紙が欲しくなったら、こちらをチェック。