こんにちは、松本洋紙店です。
今日はプロフェッショナル作品制作用のインクジェットプリンタ対応和紙、「A.I.J.P.(アワガミインクジェットペーパー)」をご紹介します。
そもそも阿波紙(あわがみ)とは?
AWA.I.J.P.(アワガミインクジェットペーパー)の説明に入る前に、まずは阿波紙がどんな紙か説明します。
阿波紙は「あわがみ」または「あわわし」と呼ばれている紙で、産地は徳島県。日本文化いろは事典には「阿波紙」によると、
阿波(徳島県)の麻植〔おえ〕郡山川町を中核として漉かれた紙で、地元特産の藍を使った染紙が多くつくられました。髪の髻〔もとどり・たぶさ〕(髪の毛を頂に集めてたばねた所)を束ねるために使われる元結紙〔もとゆいがみ〕や畳紙〔たとうし〕(畳んで懐に入れ、鼻紙にしたり歌を書いたりした紙。あるいは厚紙に漆・渋などを塗り、畳んで衣類・女性の結髪具などを入れるようにしたもの)が染紙として生産され、その素朴な味わいが好まれました。
日本文化いろは事典より 引用
なるほど、藍を使い染めた紙なんですね。
ちなみにこんなエピソートも。
1920年代に藍染で人気のあった元結紙の製造が終了し、阿波和紙は衰退するかと思われましたが、県の工業試験場が、藍一色だけでなく花柄などの模様にも加工できる「建染法」という画期的な方法を発見し、民芸風な味わいをもった新しい阿波和紙が誕生しました。
日本文化いろは事典より 引用
色や柄のバリエーションが増えたことで、新しい阿波和紙が生まれたんですね。
A.I.J.P.(アワガミインクジェットペーパー)とは?
伝統和紙である阿波和紙を知ったところで、A.I.J.P.(アワガミインクジェットペーパー)のご紹介。
A.I.J.P.(アワガミインクジェットペーパー)は、プロ用インクジェット用和紙です。
和紙の表情を活かし、高画質で豊かな表現性を実現できる紙です。
A.I.J.P.(アワガミインクジェットペーパー)の持つしっとりと柔らかな表現性は、従来の光沢紙とは違った雰囲気を醸し出し、カラー・モノクロ写真プリントは勿論、仕上がった水彩画・版画・絵画の作品をスキャニングしてプリントするなど新しいアート表現を広げてくれます。
現在、インクジェット印刷用、フィックデザイナーや、写真家、アーティストの作品に、また写真愛好家の方の大切な1枚として幅広く活用されています。
A.I.J.P.(アワガミインクジェットペーパー)の種類は?
松本洋紙店で取り扱っているA.I.J.P.(アワガミインクジェットペーパー)は9種類です。
1)竹和紙(たけわし)
<原料配合:竹>(竹70%、再生古紙30%)
絹のような手触りと、コットン紙よりもふんわりと柔らかな風合いです。
版画用に開発された紙で、厚みがあり透過しにくく、重厚感、高級感のある仕上がりとなります。
環境に優しい「竹」を原料にし、エコロジーなのも特徴です。
2)楮(こうぞ)
<原料配合:楮>
楮繊維の荒々しさと美しさを活かした和紙のベーシックな質感が感じられ、やわらかく、しっかりとした表情が特徴です。 繊細な印刷仕上がりが得られます。
写真や美術作品のレプリカに、また和風のイラストの作品制作に推奨しています。
楮(こうぞ)は代表的な和紙原料で、繊維が太くて長く強いため、紙の強度が強く保存性に優れています。その上、「やわらかで折り曲げに強い」という性質もあります。
楮繊維の滲みやすい性質を改善するために特別な顔料をコートしました。
3)三椏二層紙(みつまたにそうし)
<原料配合:三椏(表面)木材パルプ(裏面)>
なめらかでしっとりとした光沢がある上品な質感です。細く、密に絡み合う繊維が特徴の三椏の素材の持ち味を活かすためコート剤を可能な限り減量。
繊細な印刷仕上がりが得られ、モノクロプリント制作に推奨しています。
プリント後に裏紙を剥がせるように、二層に漉いています。印刷に使用する側は三椏、剥がす側の紙は木材パルプを原料とした紙で出来ています。
厚さ(重量95g/m2)については剥がしていない状態の厚さです。剥がすと厚さはほぼ3分の1になります。
4)いんべ
<原料配合:楮、麻>
和紙は通常、表と裏の表情が違いますが、忌部(いんべ)の「厚口」と「極厚口」は両面印刷が可能な素材です。 麻と楮を混合させ、簀の目(すのめ)が特徴の和紙。
本または冊子の本文用としてもご利用いただけます。
この紙は、古代の伝統的な技法を再現しており、原料には楮に麻を混ぜてより強くしてあります。麻は、楮よりも繊維が細いため、楮だけの紙よりも荒々しさをやわらげてくれます。楮の滲みやすい性質を改善するために特別な顔料をコートしました。
5)びざん
<原料配合:楮>
手漉きの技法で作られた四方耳付きで、和紙本来の風合いを最大限に表現した和紙です。厚手に仕上げてあることから、額装することなくそのまま作品として使用が可能です。
モノクロ、カラー、写真、イラストなど全般的な作品制作に推奨しています。
びざんはアーティストのために手漉きの技法で作られたインクジェット用紙です。インクジェットプリンタに使えるぎりぎりの厚さまで「厚み」を持たせてあり、パネル等に貼らなくても作品として充分耐えられます。(2種類の厚さを用意しました。)
もともと版画用としてつくられた紙ですが、写真用としてもすばらしい表現が出来ます。
6)プレミオ
<原料配合:楮、麻>
従来の「A.I.J.P.」を2枚に合わせることによって重厚感をもたせ、色彩がより鮮やかでくっきり際立ったディティールの表現が可能になりました。
さらに、厚みがあるため下地もしくは背景の色が表面に写ることがなく、色彩がより鮮やかでくっきりと際立ったディティールの表現が可能になりました。
7)白峰(しらみね)
<原料配合:楮、木材パルプ>
一枚一枚手漉きの『溜め漉き』の技法で作られています。プリンターに使えるぎりぎりの厚さまで「厚み」を持たせてあり、四方に『耳』を持たせることによって普通の印画紙とは違った趣きが表現できます。
写真を印刷したり、写真を印刷した後イラストを描き加えたり、ご自分の作品をはがきサイズに印刷してポートフォリオとして持ち歩いたりするのに最適です。
*「白峰はがき」の厚さは0.46~0.5mmあり、厚手の紙に対応していないプリンタですと印刷面が汚れてしまうか、プリンターに給紙されないことがあります。給紙されにくい場合は、上から軽く押してやると給紙されます。ただ、強く押し込むことはプリンタの故障の原因になりますので、お止め下さい。
8)雲流(うんりゅう)
<原料配合:楮>
楮の繊維を細長く筋状に残すことにより、和紙の雰囲気をダイレクトに感じることができます。楮の繊維を活かすため、風景などシンプルな作品の制作に推奨しています。
雲流(うんりゅう)は、楮の細い繊維を残したまま漉きあげています。紙にすると、「雲が流れているような」雰囲気に仕上がります。
繊維にインクが流れていき滲むのを避けるため、表面に顔料コートをして、滲みを抑えています。
9)楮二層紙(こうぞにそうし)
<原料配合:楮(表面)、木材パルプ(裏面)>
表面を楮100%、裏面には木材パルプを用い、二層に仕上げた和紙です。
出力後に2枚に剥がせることで、掛軸などの軸装用の作品制作に推奨しています。
剥離しない状態でも、楮100%の素材性を活かした作品の創作やレプリカ制作に最適です。
楮(こうぞ)は代表的な和紙原料で、繊維が太くて長く強いため、紙の強度が強く保存性に優れています。楮繊維の滲みやすい性質を改善するために特別な顔料をコートしました。
プリント後に裏紙を剥がせるように、二層に漉いています。印刷に使用する側は楮、剥がす側の紙は木材パルプを原料とした紙で出来ています。
厚さ(重量90g/m2)については剥がしていない状態の厚さです。剥がすと厚さはほぼ3分の1になります。
A.I.J.P.のサンプルセットをご用意しました
アワガミインクジェットペーパー(A.I.J.P)の和紙の魅力をお手元で感じて頂く為、サンプルセット(2種)をご用意しました。まずはお試し下さい。
サンプルセット「阿波紙 A.I.J.P.サンプラー ―BASIC―(ベーシック)」
アワガミインクジェットペーパー(A.I.J.P)機械抄き紙(厚さ0.13〜0.35mm以内の種類のみ)全11アイテムのセットです。
※天然素材の原料を使用しているため、多少の汚れが見られることがあります。
<下記の商品が入っています>
いんべ薄口-白/いんべ厚口-白/いんべ極厚口-白/雲流薄口/竹和紙170g
サンプルセット「阿波紙 A.I.J.P.サンプラー ―PRO―(プロ)」
アワガミインクジェットペーパー( A.I.J.P)厚手の紙を含む(厚さ0.13〜0.68mm)全18アイテムをセット。
※天然素材の原料を使用しているため、多少の汚れが見られることがあります。
<下記の商品が入っています>
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