プリンターメーカー各社の最新モデルを比較紹介する企画。今回はプリンターだけでなく、コピー、スキャナーなどの多機能プリンターに定評のあるブラザーをピックアップします。
ブラザーの最新プリンターが発売されたのは、いまから半年以上も前の2021年の9月です。そのときは、A4プリンターが12機種発売されました。12機種の中には色違いや付属する電話機の子機の数が違うだけの機種が含まれているので、実質は9機種が新作のプリンターとなっています。
これら9機種の中では、大容量インクカートリッジ搭載モデルのエントリーモデルであるDCP-J1200Nと、2段トレイモデルのMFC-J4540Nが新たにラインナップに追加された製品です。この記事ではこの2機種を中心に、ブラザーの最新機種をご紹介します。
ブラザーのプリンターの特徴
ブラザーのプリンターは、プリンターとしての基本的な性能は同じで、FAXの機能の有無や電話機の機能の有無で機種が分かれているケースが多いです。そこで今回は、新たにラインナップに加わった2機種は個別に解説。それ以外の機種については、大容量インクカートリッジ搭載モデルと標準カートリッジ搭載モデルに分けてまとめてご紹介します。
新たにラインナップに加わった2機種の紹介
ファーストタンクシリーズのエントリーモデル「DCP-J1200N」
エプソンやキヤノンは、プリンター本体に大容量のインクタンクを搭載して、インクはボトルから補充する製品を販売しています。これに対してブラザーでは、大容量のインクカーリッジを搭載するモデルを販売しています。このタイプの製品をファーストタンクシリーズと呼んでいて、印刷コストが安い特徴があります。DCP-J1200Nは、ファーストタンクシリーズのエントリーモデルに位置付けられています。
【参考】
brother DCP-J1200N
DCP-J1200Nの特徴
・標準カートリッジモデルより大幅に安い印刷コスト
エントリーモデルに位置付けられた本製品は、ファーストタンクシリーズで本体の価格が一番安くなっています。印刷コストはほかのファーストタンクシリーズと比べると若干高いのですが、標準カートリッジ搭載のモデルと比較するとかなり安価です。
具体的には、本製品は、A4カラー文書の印刷コストが約5.5円、モノクロが約0.9円です。標準カートリッジ搭載のDCP-J926Nは、カラー約9.4円、モノクロ約2.9円なので、カラーは約60%、モノクロは約30%もコストをカットして印刷ができることになります。
・スマホやタブレットとダイレクトに接続可能
ビジネス向けのモデルが多いブラザーのプリンターですが、本製品は低価格のエントリーモデルということもあり、家庭でも使いやすいプリンターとなっています。パソコンがない家庭でも、Wi-Fi機能を搭載したスマホやタブレットを直接接続して、プリント指示が出せます。
・用紙対応力に優れた手差しトレイ搭載
本製品の用紙トレイには、最大150枚の用紙が入るうえに、別途、手差しトレイもあります。用紙トレイが厚さ0.15mmまでの用紙をセットできるのに対して、手差しトレイは厚さ0.52mmまでの用紙がセットできます。厚紙や封筒を印刷するときに便利です。
DCP-J1200Nの仕様
●価格
参考:2万3300円(税込み・Amazon 22/6/27現在)
●ランニングコスト
A4カラー文書:約5.5円
A4モノクロ文書:約0.9円
●対応カートリッジ
LC414BK ブラック
LC414C シアン
LC414M マゼンタ
LC414Y イエロー
※各約2000円~(Amazon 22/6/27現在)
ファーストタンクシリーズの2段トレイモデル「MFC-J4540N」
FAX機能付きの複合機に、2段トレイを搭載した製品です。ブラザーのA3プリンターには、2段、3段のトレイを装備した製品がありますが、A4プリンターには従来2段トレイの製品がなく、今回新たにラインナップに追加されました。プリンターとしての性能は、1段トレイの「MFC-J4440N」と同等で、トレイの数とそれに伴う給紙枚数の差がおもな違いとなります。
【参考】
brother MFC-J4540N
MFC-J4540Nの特徴
・最大451枚が給紙できる2段トレイ
本製品の用紙トレイは、2段になっています。トレイ1に150枚、トレイ2に250枚の用紙が入ります。手差しトレイの1枚を合わせて、計451枚の多量の用紙をセットできます。とくにA4とB5のような2種類の用紙を大量に印刷する人に便利なプリンターです。
・6000枚が印刷できる大容量インクカートリッジ対応
本製品は、標準タイプと大容量タイプの2種類のインクカートリッジが使用可能です。もっとも標準タイプとは言っても、ファーストタンクシリーズ対応カートリッジの標準タイプなので、ブラックは約3000枚、カラーは約1500枚の印刷ができます。大容量タイプは、ブラック約6000枚、カラー約5000枚が印刷可能です。
ちなみに、標準カートリッジタイプのプリンター(DCP-J926N)のインクカートリッジの印刷可能枚数は、ブラック約375枚、カラー約500枚。比較するとファーストタンクシリーズの印刷枚数の多さが分かります。
・旧モデルから大きく向上した印刷速度
新たにラインナップに追加された本製品には、直接の旧モデルこそありませんが、1段トレイモデル「MFC-J4440N」の旧モデルに当たるのが「MFC-J1500N」です。この旧モデルの印刷スピードは、A4カラー毎分約10枚、モノクロ約12枚でした。これに対して本製品はカラー毎分約19枚、モノクロ約20枚と、印刷スピードが大幅に向上しています。
MFC-J4540Nの仕様
●価格
参考:4万4945円(税込み・Amazon 22/6/27現在)
●ランニングコスト
A4カラー文書:約4.1円
A4モノクロ文書:約0.8円
●対応カートリッジ
LC416BK ブラック 標準タイプ
LC416C シアン 標準タイプ
LC416M マゼンタ 標準タイプ
LC416Y イエロー 標準タイプ
LC416XLBK ブラック 大容量タイプ
LC416XLC シアン 大容量タイプ
LC416XLM マゼンタ 大容量タイプ
LC416XLY イエロー 大容量タイプ
※標準タイプ ブラック約3000円~、標準タイプ カラー約2500円~、大容量タイプ ブラック約4000円~、大容量タイプ カラー約5000円~(Amazon 22/6/27現在)
ブラザー ファーストタンクシリーズの最新プリンター紹介
ブラザーのファーストタンクシリーズの最新プリンターには、上記の2機種の他にDCP-J4140N、MFC-J4440N、MFC-J4940Nの3機種があります。いずれも上記のMFC-J4540Nとプリンターとしての基本性能は同等です。
DCP-J4140Nがカセット1段の標準的な複合機、MFC-J4440NはFAX機能付きのモデル、MFC-J4940NはFAXに加えて電話機も使えるモデルとなっています。
旧モデルは、それぞれDCP-J988N、MFC-J1500N、MFC-J1605DNです。旧モデルはA4文書の印刷コストがカラー約3.7円、モノクロ約0.7円、印刷スピードはカラー毎分10枚、モノクロ約12枚です。最新モデルは、印刷コスト カラー約4.1円、モノクロ約0.8円、印刷スピード カラー毎分20枚、モノクロ約19枚です。旧モデルと比較すると、最新モデルでは印刷コストは若干劣っていますが、印刷スピードはかなり上がっています。
ファーストタンクシリーズ最新5機種のスペック比較表
製品名 | DCP-J1200N | DCP-J4140N | MFC-J4440N | MFC-J4540N | MFC-J4940DN |
---|---|---|---|---|---|
発売年 | 2021年 | 2021年 | 2021年 | 2021年 | 2021年 |
参考 価格 |
2万3300円 | 3万2400円 | 3万9891円 | 4万4945円 | 4万8800円 |
本体 サイズ(幅×奥行×高さmm) |
435×343×180 | 435×343×180 | 435×343×180 | 435×355×250 | 435×343×180 |
印刷速度(A4カラー文書 毎分) | 約9枚 | 約19枚 | 約19枚 | 約19枚 | 約19枚 |
印刷速度(A4モノクロ文書 毎分) | 約16枚 | 約20枚 | 約20枚 | 約20枚 | 約20枚 |
印刷 解像度(dpi) |
1200×6000 | 1200×4800 | 1200×4800 | 1200×4800 | 1200×4800 |
Wi-Fi | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
自動両面 印刷 |
× | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
最大用紙 サイズ |
A4 | リーガル | リーガル | リーガル | リーガル |
最大給紙 枚数 |
151枚 | 151枚 | 151枚 | 401枚 | 151枚 |
印刷 コスト(A4カラー文書) |
約5.5円 | 約4.1円 | 約4.1円 | 約4.1円 | 約4.1円 |
印刷 コスト (A4モノクロ文書) |
約0.9円 | 約0.8円 | 約0.8円 | 約0.8円 | 約0.8円 |
ブラザー 標準カートリッジ搭載の最新プリンター紹介
ブラザーの標準カートリッジ搭載のプリンターの最新プリンターは、DCP-J926N、MFC-J904N、MFC-J939DN、MFC-J739DNの4機種です。今回、新しくラインナップに加わった機種はありません。
細かく分けると、DCP-J926Nはボディカラーが色違いのホワイトとブラックの2機種(DCP-J926N-W とDCP-J926N-B)に分けられます。MFC-J939DNとMFC-J739DNは、電話機の子機が2台付属するMFC-J939DNWとMFC-J739DNWが別機種扱いになっています。これらすべてを個別にカウントすると、7機種が新作プリンターとして販売されたことになります。
プリンターの機能としては、DCP-J926N、MFC-J904N、MFC-J939DNの3機種が同等で、それぞれFAX機能がない複合機、FAX機能がある複合機、FAX機能に加えて電話機も付属する複合機です。MFC-J739DNは、FAXと電話機能がある複合機で、この機種のみプリンターとしての性能がやや劣ります。
3機種の具体的な性能は、印刷コストがA4カラー文書約9.9円、モノクロ文書約3.0円、印刷スピードがカラー毎分16.5枚、モノクロ約17枚となっています。MFC-J739DNは、カラー印刷のスピードがやや遅く、毎分9.5枚、モノクロの印刷速度と印刷コストは他機種と同等です。
旧モデルは、それぞれDCP-J982N、MFC-J903N、MFC-J998DN、MFC-J738DNが該当します。前3機種の印刷コストはA4カラー文書約8.4円、モノクロ約2.7円、印刷スピードはカラー毎分約10枚、モノクロ約12枚です。MFC-J738DNのみ、モノクロ文書の印刷スピードが毎分約6枚と遅くなっています。新モデルと比較すると、印刷コストは新モデルがやや高くなり、印刷スピードはかなり上がっています。
標準カートリッジ搭載 最新4機種のスペック比較表
製品名 | DCP-J926N | MFC-J904N | MFC-J939DN | MFC-J739DN |
---|---|---|---|---|
発売年 | 2021年 | 2021年 | 2021年 | 2021年 |
参考価格 | 1万9500円 | 2万5000円 | 3万5900円 | 2万7000円 |
本体 サイズ (幅×奥行×高さmm) |
400×341×172 | 400×341×172 | 400×341×172 | 400×343×151 |
印刷速度(A4カラー文書 毎分) | 約16.5枚 | 約16.5枚 | 約16.5枚 | 約9.5枚 |
印刷速度(A4モノクロ文書 毎分) | 約17枚 | 約17枚 | 約17枚 | 約17枚 |
印刷 解像度(dpi) |
1200×6000 | 1200×6000 | 1200×6000 | 1200×6000 |
Wi-Fi | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
自動両面印刷 | 〇 | 〇 | 〇 | × |
最大用紙サイズ | A4 | A4 | A4 | A4 |
最大給紙枚数 | 101枚 | 101枚 | 101枚 | 101枚 |
印刷 コスト(A4カラー文書) |
約9.4円 | 約9.4円 | 約9.4円 | 約9.4円 |
印刷 コスト(A4モノクロ文書) |
約2.9円 | 約2.9円 | 約2.9円 | 約2.9円 |
***
今回はブラザーの最新プリンターを比較しつつ、ご紹介しました。
ブラザーのプリンターは、全体的に実用性を重視したビジネス向けのモデルが多くなっています。エプソンやキヤノンのように、写真印刷の鮮明さを追求した5色や6色のインクを搭載するモデルもありません。
製品を選ぶにあたっては、印刷する量に合わせてファーストタンクシリーズか標準カートリッジ搭載タイプかを選び、そのうえでFAXや電話などの自分が必要な機能を選べば、購入すべき機種がほぼ決まります。
比較的、製品選びをしやすいメーカーだけに、購入や買い替えを検討するときはぜひ、この記事を参考にしてください。
↓↓↓印刷速度が速くて写真が綺麗!おすすめプリンターを松本店長が解説!紙専門チャンネル・松本洋紙店YouTubeへ↓↓↓