いまやカメラ機能のあるスマートフォンやデジタルカメラなども普及し、すっかり“デジタル写真”が当たり前の時代になりました。写真が身近になった分だけ、「少しでもキレイに写真を撮りたい!」という人も増えたのではないでしょうか?
写真がキレイに撮れるようになれば、今度は「プリント」もキレイに出したくなるもの。デジカメが主流になる前は「現像」という工程で専門業者にお任せすることが多かったのですが、デジタル画像であれば自宅のプリンターで印刷できます。
でも、せっかくキレイに撮った写真も、普通の家庭用プリンターにコピー用紙を使っただけでは、色数やインクの乗りの問題で上手にクオリティを再現できません。写真印刷に向いた、専用のプリンターや用紙が必要になるのです。
そこで、この記事では「写真をキレイに印刷したい!」という人に向けて、写真コンテストに入賞するような実力派のアマチュアカメラマンも愛用している高画質インクジェットプリンターを4つ厳選してご紹介します!
写真プリントに向いたプリンターって?
そもそも、キレイな写真を印刷できるプリンターは、どのようなものなのでしょうか?
いわゆる普通のプリンターとの大きな違いは「色の再現度」です。印刷物の色は基本的にCMYKという4色のインクを混ぜ合わせて作るのですが、高画質のプリンターは色数がその倍か、それ以上(8色~10色)を用意し、複雑な色味を再現可能にしています。
インクの色数が多い分、インク代も高く、ランニングコスト(1枚あたりにかかる費用)もかさむ傾向にあります。また、普通のプリンターはA4までの対応のモデルも多いのですが、この手の高画質プリンターはA3ノビまで対応のものが多く、その分だけ本体の価格が高いのも特徴です。
これがおすすめ!高画質プリンター4選
それでは、実際にどんなプリンターなら写真をキレイに印刷できるのか、各候補の特徴を見ていきましょう!
ハイレベルな表現力の写真作品を実現するキヤノン「PRO-G1」
「PRO-10S」の後継機に当たる、プロやハイアマチュア向けのA3ノビ対応インクジェットプリンターです。従来機より容積が約85%と大幅に小さくなりました。写真作品をより豊かな表現に仕上げる10色の顔料インクを採用。画像処理エンジン「L-COA PRO」搭載で、大容量の画像データを高速処理できます。
【参考】
Canon PRO-G1
PRO-G1の特徴
・「新マットブラック」を含む10色の顔料インク
高い黒濃度を持つ「新マットブラック」が、マット系用紙でもぼやけることなく引き締まった黒を表現します。従来機の「PRO-10S」よりも色再現性が大きく向上しました。
また、独自開発の透明インク「クロマオプティマイザー」により、光沢のムラを抑えます。さらに照明光によって本来とは違う色味が付いて見える「ブロンズ現象」も抑制するため、展示場所を選びません。
・A3ノビに対応
プリンターはコンパクトになりましたが、作品づくりに欠かせないA3ノビサイズは保持しています。
・高速プリント
A3ノビ・フチありのカラー印刷が約2分50秒と、従来機よりも速くなりました。
・3.0型液晶パネル
インク残量などプリンターの状態がひと目で確認できます。操作ガイドや、オンラインマニュアルにつながるQRコードの表示も可能です。
PRO-G1の仕様
●価格
参考:8万5295円 (税込み・Amazon 21/01/28現在)
●ランニングコスト
L判:約25.7円
●対応インクカートリッジ
PFI-G1 MBK マットブラック
PFI-G1 PBK フォトブラック
PFI-G1 C シアン
PFI-G1 M マゼンタ
PFI-G1 Y イエロー
PFI-G1 GY グレー
PFI-G1 PC フォトシアン
PFI-G1 PM フォトマゼンタ
PFI-G1 R レッド
PFI-G1 CO クロマオプティマイザー
※各 約1500円(Amazon 21/01/28現在)
高発色・高光沢の新8色染料モデル キヤノン「PRO-S1」
キヤノン「PRO-G1」と同時期に発売された「PRO-S1」は、「PRO-100S」の後継機です。サイズなどは「PRO-G1」と共通していますが、8色の染料インクを搭載している点が 大きく異なります。
【参考】
Canon PRO-S1
PRO-S1の特徴
・新開発インクを含む8色の染料インク
マゼンタなどの色で色域拡大されたほか、黒濃度の向上や暗部の色再現性の向上が実現しました。モノクロ写真のマット紙への印字では「PRO-G1」より高画質になっています。
染料インクは紙の表面に染み込ませるので、光沢紙にプリントすると用紙の質感がそのまま出ます。そのため、光沢感のある写真印刷が可能です。新開発の染料インクが、より透明感のある鮮やかな色彩と、深みのある色再現を実現しています。
・高速プリント
A3ノビ・フチありのカラー印刷速度は約1分25秒で、「PRO-G1」を上回る速さです。
・価格やコストが安い
「PRO-G1」と比べて、プリンター価格は約1万円、ランニングコストは約3円安いです。
PRO-S1の仕様
●価格
参考:7万4350円 (税込み・Amazon 21/01/28現在)
●ランニングコスト
L判:約22.3円
●対応インクカートリッジ
BCI-66 BK ブラック
BCI-66 C シアン
BCI-66 M マゼンタ
BCI-66 Y イエロー
BCI-66 GY グレー
BCI-66 PC フォトシアン
BCI-66 PM フォトマゼンタ
BCI-66 LGY ライトグレー
※各 約1400円(Amazon 21/01/28現在)
A2ノビまで対応する高画質プリンター エプソン「SC-PX3V」
「SC-PX3V」は、2015年にエプソンから発売されたA2ノビ対応のインクジェットプリンターです。従来機よりも黒濃度を向上したことで、表現力がより豊かになりました。ギャラリーなどで映える大判の作品をプリントするのに最適です。
【参考】
EPSON SC-PX3V
SC-PX3Vの特徴
・A2ノビ対応
スナップ写真サイズのL判から、最大A2ノビサイズまで対応しています。
・新「Epson UltraChrome K3インク」搭載
3種類のブラックインク(ライトグレー、グレー、フォトブラックまたはマットブラック)で、黒の表現が向上しました。また、カラーの色域を拡大することで、よりなめらかで美しいグラデーションを表現します。
・マットブラックは多彩な用紙での定着性を実現
光沢のない用紙に使うマットブラックは、従来のインクよりも用紙の表面付近に定着しやすくなり、シャープな黒の再現ができるようになりました。また、エプソン純正用紙だけでなく幅広いファインアート系用紙にもしっかり定着できるようになり、表現の自由度が広がります。
・17インチ幅ロール紙(オプション)に対応
オプションのロールペーパーユニットを取り付けて対応するロール紙を使用すれば、パノラマ写真や縦長の作品などもプリントできます。
SC-PX3Vの仕様
●価格
参考:12万2141円(税込み・Amazon 21/01/28現在)
●ランニングコスト
L判:約16.9円
●対応インクカートリッジ
ICBK89 フォトブラック
ICC89 シアン
ICVM89 ビビッドマゼンタ
ICY89 イエロー
ICLC89 ライトシアン
ICVLM89 ビビッドライトマゼンタ
ICGY89 グレー
ICMB89 マットブラック
ICLGY89 ライトグレー
※各 約4500円 (Amazon 21/01/28現在)
エプソン「SC-PX5VII」
「SC-PX5VII」は、「PX-5V」の後継機として2014年にエプソンから発売されました。A3ノビに対応するインクジェットプリンターです。「SC-PX3V」と同じく「新Epson UltraChrom K3」インクを搭載しています。
【参考】
EPSON SC-PX5VII
SC-PX5VIIの特徴
・プリント解像度が高い
「SC-PX3V」が2880×1440dpiであるのに対して、「SC-PX5VII」は5760×1440dpiです。dpiはdots per inchの略で、1インチ当たりのドット数を表し、この数値が高いほどきめ細かく高品質な仕上がりになります。
・レーベルプリントできる
ディスクレーベル印刷機能を搭載しており、レーベルにも簡単に高画質プリントができます。
・価格が安い
Amazonでは「SC-PX3V」よりも4万円ほど安く購入できます。
SC-PX5VIIの仕様
●価格
参考:8万2000円(税込み・Amazon 21/01/28現在)
●ランニングコスト
L判:約18.9円
●対応インクカートリッジ
ICBK79(フォトブラック)
IVMB79(マットブラック)
ICC79(シアン)
ICVM79(ビビッドマゼンタ)
ICGY79(グレー)
ICLC79(ライトシアン)
ICLGY79(ライトグレー)
ICVLM79(ビビッドライトマゼンタ)
ICY79(イエロー)
IC9CL79(9色セット)
※各 約2000円 (Amazon 21/01/28現在)
4機種のスペック比較表
製品名 | PRO-G1 | PRO-S1 | SC-PX3V | SC-PX5VII |
---|---|---|---|---|
発売年 | 2020年 | 2020年 | 2015年 | 2014年 |
参考価格 | 8万5295円 | 7万4350円 | 12万2141円 | 8万2000円 |
本体サイズ (幅×奥行×高さmm) |
639×379×200 | 639×379×200 | 684×376×250 | 616×369×228 |
印刷解像度 (dpi) |
4800×2400 | 4800×2400 | 2880×1440 | 5760×1440 |
Wi-Fi | ○ | ○ | ○ | ○ |
色数 | 10色 | 8色 | 8色 | 8色 |
色の種類 | 顔料 | 染料 | 顔料 | 顔料 |
最大用紙 サイズ |
A3ノビ | A3ノビ | A2ノビ | A3ノビ |
最大給紙 枚数 |
100枚 | 100枚 | 120枚 | 120枚 |
L版印刷 コスト |
25.7円 | 22.3円 | 16.9円 | 18.9円 |
***
高画質プリンターの価格や機能はピンキリです。インクの色数を増やすだけでなく、理想の仕上がりに近づくようなさまざまな工夫が施されています。どのような仕上がりを求めるか、必要な機能は何かなどを考慮して、満足のいくプリンターを選んでみてください。