2022年3月に、キヤノンから新作のプリンターが3機種発売されました。家庭用プリンターとしてXK500とTS3530の2機種、ビジネス用プリンターとしてGX5030の1機種です。この記事では、前モデルや類似モデルと比較しながら、キヤノンの最新プリンターの特徴を解説します。
なおTR8630a のように従来の製品の型番にaを加えて発売された製品は新作あつかいにはなっていますが、基本的に性能の違いはないマイナーチェンジに留まるものなので、今回ご紹介する対象には含めていません。
前モデルや類似モデルと比較して分かる新製品の特徴
この記事では、キヤノンの新作プリンターを紹介しています。ただ、新製品を単体で見ていても、その特徴は分かりにくいです。そこで前モデルからの変更点や類似するモデルとの違いを含めて解説して、最新モデルの特徴を明らかにします。プリンターの購入を旧モデルと比較検討するときの参考にしてください。
キヤノンの最新プリンター3機種紹介
高画質と低コストを両立した「XK500」
XK500は、XK90の後継機です。XK90と同様にプレミアム6色ハイブリッドインクを採用していて、写真画質の高さと印刷コストの低さを両立させた製品となっています。キヤノンの新しいハイエンド機に位置付けられるハイスペックな製品です。
【参考】
XK500
前モデルや類似モデルと比較したXK500の特徴
・プレミアム6色ハイブリッドインクによる高画質の写真印刷
本製品に採用されているインクは、顔料インクの文字ブラックに染料インクのブラック、シアン、マゼンタ、イエロー、フォトブルーの6色です。細田の特徴はフォトブルーで、明度の高い青色から白色の領域で粒状感の少ない鮮明な印刷が可能になっています。現行でプレミアム6色ハイブリッドインクを採用するモデルは本製品のみです。
・前モデルから更に下がった印刷コスト
前モデルのXK90も高画質と低コストを両立させたモデルでしたが、L判写真で約14.1円、A4カラー文書で約6.5円の印刷コストでした。XK500では、L判写真で約10.8円、A4カラー文書で約4.0円までコストを下げています。
・タッチパネルで簡単に操作できる
XK500の類似モデルとしては、TS8530が挙げられます。TS8530も6色インクを採用していますが、フォトブルーではなくグレーが採用されています。2機種の共通点として、4.3型の大きなタッチパネルが採用されていて、画面を「標準モード」から「かんたんモード」に切り替えられる点があります。かんたんモードでは、よく使う機能だけが厳選して表示されるので、操作に慣れない人でも簡単に使いこなせます。
XK500の仕様
●価格
参考:4万9955円(税込み・Amazon 2022/4/18現在)
●ランニングコスト
L判写真:約10.8円
A4カラー文書:約4.0円
●対応カートリッジ
XKI-N20PGBK 文字ブラック(顔料)
XKI-N21BK ブラック
XKI-N21C シアン
XKI-N21M マゼンタ
XKI-N21Y イエロー
XKI-N21PB フォトブルー
※各約600円~、文字ブラックのみ約700円~(Amazon 2022/4/18現在)
シンプルな機能で低価格の複合機「TS3530」
2機種目にご紹介するのはTS3530です。XK500がハイエンドな機種であったのに対して、シンプルな機能の低価格な製品となっています。前モデルはTS3330で、やはり低価格のエントリーモデルと位置付けられた製品でした。
【参考】
TS3530
前モデルや類似モデルと比較したTS3530の特徴
・1万円程度の価格で買える低価格モデル
TS3530は、低価格であることが大きな特徴となっています。この記事の執筆時点のAmazon販売価格は1万800円です。キヤノンではTS5430も「スマホフレンドリーなエントリーモデル」との位置づけですが、Amazonでの販売価格は1万9500円で、TS3530の安さが際立っています。
・シンプルながら充実した機能
低価格のモデルですが、コピーやスキャンもできる複合機です。高画質を追求したタイプの製品ではありませんが、ブラックには文字をくっきり印刷できる顔料インク、カラーには発色が良い染料インクを採用したハイブリッドインクを搭載しています。Wi-Fi内蔵で、スマホとダイレクトに接続して印刷することもできます。
・印刷コストの高さがネック
TS3530の欠点は印刷コストの高さです。コストパフォーマンスが高い大容量インクを使用した場合でも、L判写真約27.0円、A4カラー文書約17.6円となっています。前モデルのTS3330がそれぞれ約24.8円と約16.2円なので、むしろコストパフォーマンスが悪くなっています。
TS3530の仕様
●価格
参考:1万800円(税込み・Amazon 2022/4/18現在)
●ランニングコスト
L判写真:約27.0円(大容量インク使用時)
A4カラー文書:約17.6円(大容量インク使用時)
●対応カートリッジ
BC-365 ブラック
BC-366 三色カラー
BC-365XL ブラック(大容量)
BC-366XL 三色カラー(大容量)
※ブラック約1900円~、三色カラー約2100円~、ブラック大容量約2800円~、三色カラー大容量約2700円~(Amazon 2022/4/18現在)
プリント機能に特化した大容量インク搭載モデル「GX5030」
GX5030は、大容量インクタンクを搭載したビジネスインクジェットプリンター「GXシリーズ」の新機種です。GXシリーズはラインナップを拡充している途中で、FAX機能を搭載した複合機であるGX7030、FAX非搭載の複合機であるGX6030の2機種に続いて発売された、プリンター単機能の製品がGX5030ということになります。
【参考】
GX5030
類似モデルと比較したGX5030の特徴
・プリンターとしての性能は他のGXシリーズと同等
GX5030は、印刷コストや印刷スピードといったプリンターとしての性能は、GX7030やGX6030と同等です。機能がシンプルな分価格が抑えられていて、FAXやコピーの機能が必要ない場合は、GX5030を購入すれば購入費用が抑えられます。機能が限定されている分、サイズがコンパクトなのも魅力です。
・ビジネスに適した顔料インクを採用
キヤノンの大容量インクタンク搭載プリンターには、家庭での使用も想定したGシリーズもあります。Gシリーズが写真印刷にも適するように、カラーは染料インク、ブラックは顔料インクの「ハイブリッドインク」を採用しているのに対して、GXシリーズは4色すべてに文書印刷に強い顔料インクを採用しています。
・ビジネスに適した印刷スピードの速さ
Gシリーズの中の1台であるG5030の印刷コストは、A4カラー文書の場合で約1.0円、印刷スピードは毎分約6.8枚です。これに対して、GX5030の印刷コストは約2.2円で、印刷スピードは約15.5枚です。2モデルを比べると印刷コストは少し上がっていますが、それでも十分に安く、印刷スピードは倍以上と速さを重視したビジネス向けの仕様になっています。
GX5030の仕様
●価格
参考:5万5000円(税込み・Amazon 2022/4/18現在)
●ランニングコスト
A4カラー文書:約2.2円
A4モノクロ文書:約0.8円
●対応インクボトル
GI-36BK ブラック
GI-36C シアン
GI-36M マゼンタ
GI-36Y イエロー
※ブラック約4600円~、カラー各約5600円(Amazon 2022/4/18現在)
キヤノン最新プリンター3機種のスペック比較表
製品名 | ①XK500 | ②TS3530 | ③GX5030 |
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発売年 | 2022年 | 2022年 | 2022年 |
参考価格 | 4万9955円 | 1万800円 | 5万5000円 |
本体サイズ (幅×奥行×高さmm) |
372×345×142 | 435×327×145 | 399×416×238 |
カラー 印刷速度 (A4文書 毎分) |
約10.0枚 | 約4.0枚 | 約15.5枚 |
モノクロ 印刷速度 (A4 文書 毎分) |
約15.0枚 | 約7.7枚 | 約24.0枚 |
印刷解像度 (dpi) |
4800×1200 | 4800×1200 | 600×1200 |
Wi-Fi | ○ | ○ | ○ |
自動両面 印刷 |
○ | × | ○ |
最大用紙 サイズ |
リーガル | リーガル | リーガル |
最大給紙 枚数 |
200枚 | 60枚 | 350枚 |
カラー印刷 コスト (A4文書 毎分) |
約4.0円 | 約17.6円 | 約2.2円 |
モノクロ印刷 コスト (A4文書 毎分) |
― | ― | 約0.8円 |
***
今回はキヤノンの最新プリンター3機種をご紹介しました。家庭用複合機のハイエンド機とエントリー機、ビジネス用の単機能プリンターと、それぞれに特徴のある製品が発売されています。この記事を参考に製品の特徴を把握して、自分の用途に合ったプリンターを選んでください。