目標達成へ向けて、部下をどのように指導すればいいかお悩みの上司は多いのではないでしょうか。ただ答えを教えるのではなく、できれば自分の力で目標を掴み取れるように、成長へ導きたいものですよね。
そんな考えに適した指導方法が「コーチング」です。この記事では、コーチングとはどんなものなのか、コーチングの手順についてまとめました。
コーチングとは? ティーチング、カウンセリングとどう違う?
コーチングとは、達成したい目標がある人に対して、指導やアドバイスを行うことで目標達成をサポートすることです。ただし、コーチが一方的に正解へ導いていくのではありません。正解にたどり着くのは、あくまで本人の力。コーチは、コミュニケーションをとりながら、気づきを与えたり自主的な行動をうながしたりして、対象が本来持っている力や可能性を最大限に発揮できるようサポートしていきます。
コーチングと似ているものとして、「ティーチング」や「カウンセリング」があります。しかし、これらはコーチングと目的や方法が異なります。
ティーチングは、経験豊かな先生や上司が、生徒や部下に向けて自身の経験や知識をもとに目標達成へ導いていくものです。そのため、指導方法は指示や命令を与えるものになりがちで、先生と生徒・上司と部下などの明確な上下関係があります。目標達成という目的はティーチングと同じですが、答えを教えることで学んでもらうティーチングに対して、コーチングは自ら答えにたどり着けるように伴走するものという点が違っています。
カウンセリングは、カウンセリングをする相手の不安や悩みの解消を目的に行われます。方法はコーチングと同じように相手の現状分析から始まりますが、カウンセリングは明確な目標の達成を目的としません。カウンセリングをする相手の心理的な問題が解消されるまで、繰り返し行われます。
コーチングの手順は4ステップ
コーチングは、コーチングをする相手と信頼関係を築くことが重要になります。コーチングの基本的な手順は、下記の4ステップです。
1 コーチングをする相手の現状を把握する
まずは、コーチングする相手が今どんな課題をかかえているのか、目標達成のために何がさまたげになっているのかを明らかにします。このときに大事なのが、相手が不安や不満などの本音も言えるように、信頼関係を築くことです。雑談も含めてコミュニケーションをとりながら、相手に心を開いてもらえるよう心がけましょう。
2 目標を具体化する
コーチングする相手がどのような状態になりたいのか、明確な目標を確認します。ゴールを具体的に描くことで、クリアするべき課題も明確になり、達成のために取るべき行動が見えてきやすくなります。ただし、この目標はあくまで本人の価値基準に沿っていることが重要です。会社から与えられたノルマなど、心から納得できていないことを目標としていると、自発的に達成しようという気持ちがわきにくくなり、パフォーマンスの発揮を妨げかねません。
3 行動計画を立てる
コーチングをする相手に、目標達成のための具体的な行動計画を作成してもらいましょう。コーチのほうは、冷静な目で、建設的なアドバイスを行います。段階的に目標を設定し、それぞれの期限や達成するためのキーパーソンや行うべき役割、具体的な手順などを明確にして、計画の精度を高めていきましょう。
4 経過を見ながら、継続的にフォローする
行動計画の段階的な目標期限になったら、コーチングを受ける対象が自身の達成度を確認し、行動を評価してもらいます。コーチはこのとき、実際の評価と自己評価がズレていないか、努力の方向が正しいかなどを見て、サポートします。ときには、進んでいる段階から戻して、計画を修正することも必要です。継続的に声をかけながら目標達成までフォローしていきましょう。
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コーチングは、答えを教えるのではなく、自分の力で答えにたどり着けるように、相手をサポートする手法です。自主的に目標達成へ向かってもらうために大事なのは、相手の話をよく聞き、信頼関係を築くこと。コーチングについて学べる書籍やeラーニングなどもあるので、興味があれば学んでみてはいかがでしょうか。