家電やガジェットにおける「ハイエンドモデル」とは、各メーカーの製品ラインナップの最上位機種を指します。多機能で性能も高く、価格ももっとも高い製品であることが多いです。
高価な製品だけに、必ずしも購入時にハイエンドモデルを選べば良いとは限りませんが、プリンターであれば、高精細な印刷ができるのはもちろん、コピーやスキャナーなどの機能面も充実しています。コスパを考えなければ、性能面で不満に思うことはまずないでしょう。
今回の記事では、2021年におけるプリンターのハイエンドモデルを徹底比較。各社が誇る最新鋭のプリンターのどこがすごいかをまとめました。
好みや用途に合わせて選ぶ!ハイエンドモデルの選び方
ハイエンドモデルは、各メーカーが誇るその時点での最上位モデルだけに、性能の高さは保証済みです。とはいえ、それぞれの製品には特徴があり、得意な分野も違います。購入を検討するなら、自分の好みや用途に合った製品を選ぶといいでしょう。
この記事では、家庭用のプリンターのハイエンドモデルに加えて、ビジネス用のビジネスインクジェットと呼ばれるカテゴリーの製品のハイエンドモデルもご紹介します。リモートワークの機会が増えて、自宅のプリンターをビジネスで使う機会が増えている人は、ビジネスインクジェットもぜひ視野に入れてみてください。
家庭用プリンターのハイエンドモデル3選
A3印刷対応で高画質のプリンター エプソン「EP-982A3」
6色インク対応で、写真を高画質で印刷できるプリンターです。A3サイズまで印刷できるプリンターとしてはコンパクトなサイズなのも特徴。家庭で大きなサイズの写真をプリントしたい人におすすめです。
【参考】
EPSON EP-982A3
EP-982A3の特徴
・6色インク対応で高画質の印刷が可能
ブラック、マゼンタ、シアン、イエローの基本となる4色にライトシアン、ライトマゼンタを加えた6色インクを採用しています。2つの中間色のインクがあることで滑らかなグラデーションが表現でき、肌や空の微妙な色合いも豊かに再現できます。
・コンパクトサイズのA3プリンター
本製品の幅は479mm、奥行は356mmです。同社のA4プリンターEP-883Aと比べて幅が130mm、奥行は16mmしか違いません。A3用紙は用紙トレイが使えず、手差しによる1枚ずつの給紙が必要ですが、家庭で手軽にA3プリントが楽しめるのは魅力的です。
・LANポート搭載で有線接続もできる
本製品には、最近の家庭用プリンターでは省略されていることも多いLANポートが搭載されています。有線で接続することで、安定した高速のデータ通信が可能です。もちろんWi-Fi接続も可能なので、部屋の好きな場所に自由に置くこともできます。
EP-982A3の仕様
●価格
参考:3万772円(税込み・Amazon 21/11/26現在)
●ランニングコスト
A4カラー文書:約13.5円(増量インク使用時)
●対応カートリッジ
ICBK80 ブラック
ICC80 シアン
ICM80 マゼンタ
ICY80 イエロー
ICLC80 ライトシアン
ICLM80 ライトマゼンタ
ICBK80L ブラック 増量タイプ
ICC80L シアン増量タイプ
ICM80L マゼンタ増量タイプ
ICY80L イエロー増量タイプ
ICLC80L ライトシアン増量タイプ
ICLM80L ライトマゼンタ増量タイプ
※各約700円~、増量タイプは各約1200円~(Amazon 21/11/26現在)
写真も文書も高品質で印刷できるキヤノン「XK90」
染料インクと顔料インクを組み合わせた「ハイブリッドインク」を採用したプリンターです。ハイブリッドインクとは、発色性が良く写真印刷に適した染料インクと、コントラストが高くにじみにくく文書印刷に適した顔料インクの両方を用途に応じて使い分ける、いいとこ取りのインクです。
本製品には基本4色にフォトブルーを加えた5色の染料インクに、ブラックの顔料インクと合わせた「プレミアム6色ハイブリッドインク」が採用されています。写真も文書もキレイに印刷したい人に最適なプリンターです。
【参考】
Canon XK90
XK90の特徴
・フォトブルーを加えたプレミアム6色ハイブリッドインク採用
光沢紙における発色性を向上させたインクを採用。フォトブルーインクを採用することによって、青色~白色の領域での粒状感を低減させることに成功しています。写真を高画質で印刷できるとともに、顔料インクのブラックも搭載しているので、文字もくっきり見やすく印刷できます。
・カードリッジ式のプリンターとしては低いランニングコスト
大容量インクを使用したときの本製品の印刷コストは、A4カラー文書で1枚約6.3円です。同社のエントリーモデルに位置付けているTS8530は1枚約12.2円と約2倍の差があり、高画質でありながら低コストで印刷できることが分かります。
・ヘアライン仕上げのボディで高級感のあるデザイン
ハイエンドモデルには、それにふさわしいデザインも求められます。本製品は、ダークメタリックシルバーのカラーにヘアライン仕上げが施されたボディが採用され、ほかの製品にはない高級感を醸し出しています。
XK90の仕様
●価格
参考:3万9500円(税込み・Amazon 21/11/26現在)
●ランニングコスト
A4カラー文書:約7.8円(標準容量インク使用時)、約6.3円(大容量インク使用時)
●対応カートリッジ
インクタンク XKI-N11BK ブラック
インクタンク XKI-N11Y イエロー
インクタンク XKI-N11M マゼンタ
インクタンク XKI-N11C シアン
インクタンク XKI-N11PB フォトブルー
インクタンク XKI-N10PGBK ブラック
インクタンク XKI-N11XLBK ブラック(大容量)
インクタンク XKI-N11XLY イエロー(大容量)
インクタンク XKI-N11XLM マゼンタ(大容量)
インクタンク XKI-N11XLC シアン(大容量)
インクタンク XKI-N11XLPB フォトブルー(大容量)
インクタンク XKI-N10XLPGBK ブラック(大容量)
※各約700円~、大容量各約1000円~(Amazon 21/11/26現在)
低コストと高画質印刷を両立させたエプソン「EW-M973A3T」
EW-M973A3Tは、エプソンのエコタンク搭載プリンターのハイエンドモデルです。従来のエコタンク搭載モデルは印刷画質を追求した製品ではありませんでしたが、本製品は高画質と低コストを両立させたモデルとなっています。本体価格が高いのがネックとなりますが、高画質で大量に印刷したい人にはイチオシのプリンターです。
【参考】
EPSON EW-M973A3T
EW-M973A3Tの特徴
・エコタンク搭載モデルならではの低ランニングコスト
本製品のランニングコストは、A4カラー文書で約1.8円です。インクカートリッジ対応の機種と比較すると、エコタンク搭載モデルのランニングコストが極めて低いことが分かります。
・写真も文書もキレイに印刷できる6色インクを採用
従来のエコタンク搭載モデルは、印刷コストは低いものの画質を追求した製品ではありませんでした。本製品は6色インクを採用し、画質の面でもハイエンドと呼ぶにふさわしいものになっています。基本4色に染料インクのグレーと顔料インクのマットブラックが追加されているので、写真も文書も鮮明に印刷できます。
・A3ノビサイズまで印刷可能で楽しみが広がる
A3ノビの大きなサイズまで印刷できるのも、本製品の大きな特徴です。A3ノビというのは、余白部分を含むA3サイズよりも少し大きなサイズのことです。A3サイズのポスターを印刷したいときなどに便利です。
EW-M973A3Tの仕様
●価格
参考:8万8761円(税込み・Amazon 21/11/26現在)
●ランニングコスト
A4カラー文書:約1.8円
●対応カートリッジ
TOB-PB トビバコ フォトブラック
TOB-MB トビバコ マットブラック
TOB-C トビバコ シアン
TOB-M トビバコ マゼンタ
TOB-Y トビバコ イエロー
TOB-GY トビバコ グレー
※各約1800円~(Amazon 21/11/26現在)
家庭用ハイエンドモデル3機種のスペック比較表
製品名 | EP-982A3 | XK90 | EW-M973A3T |
---|---|---|---|
メーカー | エプソン | キャノン | エプソン |
発売年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 |
参考価格 | 3万772円 | 3万9500円 | 8万8761円 |
本体サイズ (幅×奥行×高さmm) |
479×356×148 | 約373×319×141 | 523×379×169 |
印刷速度 (L判写真用紙) |
約13秒 | 約10秒 | 約19秒 |
印刷解像度 (dpi) |
5760×1440 | 4800×1200 | 5760×1440 |
Wi-Fi | ○ | 〇 | 〇 |
両面印刷 | 〇 | 〇 | 〇 |
最大用紙 サイズ |
A3 | A4 | A3ノビ |
最大給紙 枚数 (普通紙) |
100枚 | 100枚 | 150枚 |
印刷コスト (A4文書) |
約13.5円(増量) | 約6.3円(大容量) | 約1.8円 |
ビジネスインクジェットプリンターのハイエンドモデル3選
「ビジネス用のプリンター」というと、レーザープリンターを思い浮かべる人も多いかもしれませんが、インクジェットプリンターにもビジネス向けの製品があります。ここからは、印刷スピードが速く、かつ耐久性が高いという、ビジネス目的の性能を満たしたビジネスインクジェットプリンターのハイエンドモデルをご紹介します。
幅広い用紙に印刷可能で、クラウド/モバイルにも対応する エプソン「PX-M7110F」
毎分24枚の印刷ができるスピードと、60万ページの耐久性を備えたビジネスインクジェットプリンターです。さまざまな用紙に印刷が可能で、クラウド・モバイルにも対応したハイスペックな製品となっています。個人で導入するには、本体がかなり高価なのが難点です。
【参考】
EPSON PX-M7110F
PX-M7110Fの特徴
・A3ノビまで印刷可能で、対応する用紙も幅広い
ポスターやチラシを印刷するときに便利なA3ノビサイズ対応。ラベル紙や窓付き封筒、厚手の用紙にも印刷可能です。印刷できる用紙の種類が多いので、さまざまな印刷物を作成できます。
・大容量のインクカートリッジを採用
インクはにじみにくい顔料インクを採用しています。型番の末尾がAのカートリッジは、ブラック約5800ページ、カラー約4600ページ、末尾Bのカートリッジは、ブラック約11500ページ、カラー約8000ページの印刷が可能です。
・クラウド対応でモバイル端末との連携も可能
クラウド対応で、メールで送信した本文や添付ファイルを直接プリンターで印刷できます。本製品でスキャンしたデータを、パソコンに送ることも可能です。スマホやタブレットなどのモバイル端末でも同様の作業ができます。
PX-M7110Fの仕様
●価格
参考:22万9800円(税込み・Amazon 21/11/26現在)
●ランニングコスト
A4カラー文書:約6.7円
A4モノクロ文書:約2.0円
●対応カートリッジ
IB02KA ブラック
IB02CA シアン
IB02MA マゼンタ
IB02YA イエロー
IB02KB ブラック
IB02CB シアン
IB02MB マゼンタ
IB02YB イエロー
※型番末尾A ブラック約12000円~、カラー各約7400円(Amazon 21/11/26現在)
※型番末尾B ブラック約17000円~、カラー各約11000円(Amazon 21/11/26現在)
インクタンク搭載でランニングコストが低い キヤノン「GX7030」
個人で購入するのも可能な価格帯の、ビジネスインクジェットプリンター。インクタンク搭載タイプで、印刷コストが抑えられます。コピーやファックスの機能も充実しているので、個人事務所や自宅でのリモートワークにもおすすめです。
【参考】
Canon GX7030
GX7030の特徴
・大容量のインクタンク「ギガタンク」を搭載し、低ランニングコストを実現
本製品は、本体にインクタンク「ギガタンク」を搭載していて、インクボトルからインクを補充します。低コストで印刷が可能で、A4文書をカラー約2.2円、モノクロ約0.8円で印刷できます。ボトル1本でブラックはA4文書約6000枚、カラーは約14000枚の印刷が可能なので、インク補充の手間も少なくなっています。
・簡単にインクが補充できるタンクとインクボトルの構造
インクタンクタイプのプリンターを初めて使用する際には、インクの補充が難しいのではないかと心配になるかもしれません。本製品は、既定の量までインクが補充されると、自動でインクが止まる仕組みになっています。色ごとにボトルの差し込み口の形状が違うので、インクを間違えて入れてしまうミスも起こりません。
・プリントだけでなく、コピーやフックスの機能も充実
本製品は、コピーやファックスも使える複合機です。コピーに関しては、用紙のサイズに合わせて自動で拡大・縮小してコピーしたり、元の原稿2枚分や4枚分を1枚の用紙にコピーしたりできます。ファックスは高速伝送可能なスーパーG3規格に対応していて、パソコンから直接ファックスを送れます。
GX7030の仕様
●価格
参考:7万2500円(税込み・Amazon 21/11/26現在)
●ランニングコスト
A4カラー文書:約2.2円
A4モノクロ文書:約0.8円
●対応インクボトル
GI-36 BK ブラック
GI-36 C シアン
GI-36 M マゼンタ
GI-36 Y イエロー
※ブラック約4400円~、カラー各約5700円(Amazon 21/11/26現在)
3段の給紙トレイを搭載した高耐久モデル ブラザー「MFC-J6999CDW」
3段の給紙トレイを搭載していて、大量の印刷でも用紙補給の手間が少ない製品です。用紙サイズによる使い分けが可能なので用紙を差し替える必要もなく、業務効率が上がります。耐久性も高く、ビジネス現場で活躍するプリンターです。
【参考】
brother MFC-J6999CDW
MFC-J6999CDWの特徴
・前面3段の給紙トレイと背面給紙の4WAY給紙
本製品には、前面に3段の給紙トレイがあり、1段に250枚の用紙がセットできます。さらに背面には、さまざまなサイズの用紙が使える多目的トレイが搭載されています。多目的トレイにも普通紙100枚まで給紙可能です。
・ファーストプリントまで約6.0秒で印刷待ちの時間を短縮
本製品は、1分間にA4カラー文書を約20ページ、モノクロ文書を約22ページ印刷するスピードがあります。またファーストプリントまでの時間はカラーの場合約6.0秒、モノクロでは約5.5秒です。プリントが早く、待ち時間が少ないので業務の効率化が期待できます。
・約15万ページが印刷可能な高い耐久性
家庭用よりも印刷枚数が多くなるビジネス用プリンターでは、耐久性の高さも重視したい項目の1つです。本製品の耐久性は約15万ページで、使用環境によっても変わりますが、基本的に廃インクパッドを交換する必要もありません。
MFC-J6999CDWの仕様
●価格
参考:8万4973円(税込み・Amazon 21/11/16現在)
●ランニングコスト
A4カラー文書:約4.1円
A4モノクロ文書:約0.8円
●対応カートリッジ
LC3139BK 黒
LC3139C シアン
LC3139M マゼンタ
LC3139Y イエロー
※ブラック約4000円~、カラー各約5000円~(Amazon 21/11/26現在)
ビジネスインクジェットプリンター3機種のスペック比較表
製品名 | PX-M7110F | GX7030 | MFC-J6999CDW |
---|---|---|---|
メーカー | エプソン | キャノン | ブラザー |
発売年 | 2018年 | 2021年 | 2018年 |
参考価格 | 22万9800円 | 7万2500円 | 8万4973円 |
本体サイズ (幅×奥行×高さmm) |
613×755×493 | 約399×410×314 | 575×477×445 |
印刷速度 A4カラー (毎分) |
約24枚 | 約15.5枚 | 約20枚 |
印刷解像度 (dpi) |
4800×1200 | 600×1200 | 1200×4800 |
Wi-Fi | ○ | ○ | ○ |
両面印刷 | ○ | ○ | ○ |
最大用紙 サイズ |
A3ノビ | A4 | A3 |
最大給紙 枚数 (普通紙) |
335枚 | 600枚 | 850枚 |
印刷コスト (A4カラー文章) |
約6.7円 | 約2.2円 | 約4.1円 |
***
今回は家庭用とビジネス用に分けて、主要プリンターメーカーのハイエンドモデルをご紹介しました。同じハイエンドといっても、家庭用とビジネス用では求められる性能が違います。それぞれの製品の個性を把握して、購入時の参考にしてください。