環境問題への対策やデジタル化推進などにより、「ペーパーレス化」が叫ばれて久しい昨今。資料をデータで管理する企業が増えていたり、電子書籍の普及が進んでいたりと、身近なところでも紙の使用が減っていることを実感する機会があるのではないでしょうか。
しかし、やっぱり「手にとって見られる紙が良い」という人もまだまだ多いはず。そこでこの記事では、そんな紙の良さを、さまざまな実験によって科学的に解説する本をご紹介します。
紙の魅力を科学的視点で明らかに
●書名:ペーパーレス時代の紙の価値を知る 読み書きメディアの認知科学
●出版社:産業能率大学出版部
●発売日:2018年11月
●編著者:柴田博仁・大村賢悟 共著
●定価:3,080円(税込)
●ISBN:9784382057654
『ペーパーレス時代の紙の価値を知る 読み書きメディアの認知科学』は、紙とPC・タブレットなどの電子メディアとを比較して、科学的に利点を解説している書籍です。
著者の柴田博仁・大村賢悟氏は、認知科学・認知心理学の専門家です。紙・電子メディアで、読み書きしたときのスピードや集中度、内容の理解度などさまざまな実験を行ったところ、総合的に紙の方が良い結果を残しているのです。
実験の結果は、読み・書きともに紙の方が優位!
一般的に紙と電子メディアを比べると、紙に書かれた文字の方が見やすく、電子メディアの方が見にくくて目が疲れるイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。しかし、本書によると“見やすさ”という点では両者に大きな差はないのだとか。それよりも著者たちが注目したのは、紙の“操作性”や“集中度”でした。
確かに、手で持ってパラパラとめくれる紙は、読みたい部分を探したり、少し前に戻って読み直したりという操作がしやすいですよね。また、誤字脱字を探す実験、読書への集中度を測る実験などにおいても、ほぼすべて紙の方が良い結果を残しています。
さらに、紙・電子メディアで講義ノートをとって理解度を測る実験でも、紙に軍配が上がりました。ちょっと考えただけでは、紙に書くよりもパソコンで打ち込んだ方が早くできて、内容もよくわかりそうに思えますよね。しかし、実はキーボードで文字を打つ行為は紙に書くよりも負荷が重く、講義で聞いた言葉をそのまま打ち込んでしまう傾向にあるのだとか。
一方で紙に書くと、自分の言葉に置き換えて書く傾向にあり、内容の理解が深められるとのことです。勉強するときは紙に書いた方が覚えやすいと、身をもって実感した経験がある人も多いのではないでしょうか。
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ペーパーレス化が進み、紙の使用は減りつつありますが、やっぱり紙には紙の良さがあります。しかし、その良さを普段から実感している人でも、具体的にどんなところが良いか答えられない方もいるのでは? さらに紙の良さを理解するため、ぜひ『ペーパーレス時代の紙の価値を知る 読み書きメディアの認知科学』を読んでみてはいかがでしょうか。