一般的に大判プリンターというのは、A2以上のサイズが印刷できるプリンターを指します。大判プリンターがあれば、社内でポスターのような大きな掲示物を作成することも可能です。一般的なプリンターでは印刷できない大きな印刷物を作成したいなら、大判プリンターの購入を検討してみてください。
自社で大判プリンターを購入するメリット
ひとくちに大判プリンターといっても、実際はさまざまなサイズの製品があります。オフィスで需要があるのは、A1よりも少し大きなA1ノビのサイズまで印刷できる機種です。A1サイズが印刷できれば、ポスターも社内で作成できます。
エプソンの調査によると、A1普通紙のポスターの場合は、外注すると1187円のコストがかかり、内製化すると約81円のコストで済みます。A1光沢紙の場合、外注で2495円、内製で539円のコストです。外注先やプリンターの使用状況によってもコストは変わりますが、内製化することでコストが大幅に抑制できることが分かります。
仮に1枚ごとに1000円のコストカットとすると、12万円の機種なら120枚、15万円の機種なら150枚印刷すれば元が取れる計算になります。
また、社内で印刷すれば、印刷する直前まで修正ができますし、追加でポスターの掲示枚数を増やすことも簡単です。外部に発注するより小回りが利くことも、ポスターを内製化するメリットです。
【参考】
EPSON公式ホームページ
大判プリンターのおすすめ5選
コンパクトなサイズのエントリーモデル EPSON「SC-T2150」
SC-T2150は、エントリーモデルとして販売されている機種で、価格がかなり抑えられています。コンパクトなサイズで、省スペースで設置できる点も特徴です。水濡れや色褪せに強い4色顔料インクを採用しています。
【参考】
EPSON SC-T2150
SC-T2150の特徴
・省スペースで置き場所に困らない
本製品のサイズは970×505×230mm。A1ノビまで印刷できるプリンターとしては小さいプリンターです。重さも約27kgしかありません。専用スタンドが販売されていますが、一般の作業机やラックの上にのせても使えます。
・使いやすい大型タッチパネルや用紙保持機能
本製品は、本体でも操作がしやすい大型のタッチパネルを採用しています。プレビュー画面が表示でき、印刷ミスを防げます。印刷した後、カットした用紙がローラーで保持され落下しないので、印刷物を破損したり汚したりせずに回収できるのも便利です。
・少量インクも販売されていて無駄がない
本製品のインクは、26ml、50ml、80mlの容量のものが販売されています。26mlはカラーインクのみ、80mlはマットブラックのみです。使用量に合わせてインクを選べるので、印刷枚数が少ない事業所であっても、無駄にインクを購入せずに済みます。
SC-T2150の仕様
●価格
参考:11万4988円(税込み・Amazon 22/6/24現在)
●ランニングコスト
A1ポスター:約100円
●対応カートリッジ
SC13CM シアン 26ml
SC13MM マゼンタ 26ml
SC13YM イエロー 26ml
SC13MBM マットブラック 50ml
SC13CL シアン 50ml
SC13ML マゼンタ 50ml
SC13YL イエロー 50ml
SC13MBL マットブラック 80ml
※26ml容量 約2100円~、50ml容量 約3800円~、80ml容量 約4500円~(Amazon 22/6/24現在)
高画質と高生産性を両立したEPSON「SC-P7550」
12色のインクを搭載した高画質で印刷できる大判プリンターです。本記事でご紹介しているプリンターの中では最も高価な製品ですが、高画質の写真・ポスターが印刷できます。Photoshop(R)やLightroom(R)との連携が強化されていて、思い通りのポスター製作が可能です。
【参考】
EPSON SC-P7550
SC-P7550の特徴
・12色インクによる高画質印刷
本製品には階調性・低粒状性を向上させるグレーインクがグレーとライトグレーの2色、特色インクもオレンジ、グリーン、バイオレットが搭載されています。合計12色のインクにより色再現領域が拡大、写真作品やポスターを高画質で印刷可能です。
・高画質でも速く印刷できる新ヘッドを搭載
従来機が採用する1.0インチのヘッドに対して、本製品は2.64インチの新ヘッドを採用しています。総ノズル数が9600あり、従来機よりも約2.3倍のスピードで印刷が可能。生産性も高いプリンターです。
・Adobeユーザーに使い勝手がいいソフトウェアを搭載
本製品には、Adobe Photoshop(R)やAdobe Lightroom(R)との連携が強化されたEpson Print Layoutというプラグインソフトが搭載されています。使い慣れたソフトを使って、レタッチした画像をイメージ通りにプリントアウトできます。PostScript(R)拡張ユニットも搭載可能です。SC-P7550PSには、標準でPostScript(R)拡張ユニットが搭載されています。
SC-P7550の仕様
●価格
参考:39万9880円(税込み・楽天市場 22/6/24現在)
●ランニングコスト
A1ポスター:約123円
●対応カートリッジ
SC18BK15 フォトブラック150ml
SC18C15 シアン150ml
SC18GR15 グリーン150ml
SC18GY15 グレー150ml
SC18LC15 ライトシアン150ml
SC18LGY15 ライトグレー150ml
SC18MB15 マットブラック150ml
SC18OR15 オレンジ150ml
SC18V15 バイオレット150ml
SC18VLM15 ビビッドライトマゼンタ150ml
SC18VM15 ビビッドマゼンタ150ml
SC18Y15 イエロー150ml
SC18BK35 フォトブラック350ml
SC18C35 シアン350ml
SC18GR35 グリーン350ml
SC18GY35 グレー350ml
SC18LC35 ライトシアン350ml
SC18LGY35 ライトグレー350ml
SC18MB35 マットブラック350ml
SC18OR35 オレンジ350ml
SC18V35 バイオレット350ml
SC18VLM35 ビビッドライトマゼンタ350ml
SC18VM35 ビビッドマゼンタ350ml
SC18Y35 イエロー350ml
SC18BK70 フォトブラック700ml
SC18C70 シアン700ml
SC18GR70 グリーン700ml
SC18GY70 グレー700ml
SC18LC70 ライトシアン700ml
SC18LGY70 ライトグレー700ml
SC18MB70 マットブラック700ml
SC18OR70 オレンジ700ml
SC18V70 バイオレット700ml
SC18VLM70 ビビッドライトマゼンタ700ml
SC18VM70 ビビッドマゼンタ700ml
SC18Y70 イエロー700ml
※150ml容量 約6000円~、350ml容量 約11400円~、700ml容量 約1万8800円~(楽天市場 22/6/24現在)
耐水性が高い全色顔料インクを採用したCanon「TA-20」
本製品には新開発の5色フル顔料インク「LUCIA TD」が採用されています。顔料が用紙の表面近くに留まりやすいため、にじみが少なく、耐水性も高いインクです。フルフロントオペレーション採用で紙詰まりなどの処理も前面で行えるため、壁に沿って設置することができます。Wi-Fiにも対応した使い勝手の良いプリンターです。
【参考】
Canon TA-20
TA-20の特徴
・水濡れに強い5色フル顔料インク「LUCIA TD」
本製品には、新たに開発された5色フル顔料インク「LUCIA TD」が採用されています。用紙の表面近くに顔料が定着しやすいためにじみにくく、線や文字を高精細に再現できます。カラーインクの発色性も良いインクです。
・設置場所の自由度が高い
本製品は本体がコンパクトかつ、フルフロントオペレーションを採用しているので、背面にスペースを空ける必要がありません。壁に沿って設置できます。USBや有線LANの他、無線LANでの接続も可能なので、配線を気にすることなく自由に設置場所を決められます。
・静音性が高くオフィスに置きやすい
本製品の稼働音は、動作時でも約42㏈以下、待機時では35㏈以下です。静かな住宅街や図書館の騒音値が40㏈程度とされていますから、かなり静かなプリンターといえます。オフィスに置いても、音で仕事の妨げになりにくい静かさです。
TA-20の仕様
●価格
参考:12万9800円(税込み・Amazon 22/6/24現在)
●ランニングコスト
A1ポスター:約93円
●対応カートリッジ
PFI-030MBK 顔料マットブラック55ml
PFI-030BK 顔料ブラック55ml
PFI-030C 顔料シアン55ml
PFI-030M 顔料マゼンタ55ml
PFI-030Y 顔料イエロー55ml
※各約5300円~(楽天市場 22/6/24現在)
ポスター内製化に便利なアプリケーションが付属 Canon「TM-200」
高速で印刷が可能で、印刷コストも安い大判プリンターです。「PosterArtist Lite」などのソフトウェアも充実していて、ポスターを内製化するうえでで便利な製品となっています。上の画像は、別売の専用スタンドを装着した状態のものです。
【参考】
Canon TM-200
TM-200の特徴
・高速印刷が可能で印刷コストも安い
本製品を使って、標準モードでA1ポスターを普通紙に印刷するときの印刷スピードは約44秒、印刷コストは約63円です。速く印刷できて、コストも抑えられるプリンターです。
・印刷モードが5段階に設定可能
印刷の品質とスピードのバランスは、5段階で調節可能。印刷を「速い」に設定するとA1ポスターを約25秒、コスト約25円で印刷できます。印刷品質を高めたい場合は、「きれい」モードに設定します。「きれい」モードで光沢紙に印刷すると、約5.3分の時間がかかり、コストは約102円です。時間もコストもかかりますが、高品質で印刷できます。
・ポスター制作をサポートする「PosterArtist Lite」付属
本製品には、特別な技術がない人でも簡単にポスター作製ができるソフトウェアPosterArtist Liteが付属します。用意されたテンプレートからデザインを選択、テンプレートを一部加工するだけでポスター作製が可能です。Web版PosterArtistも公開されています。
TM-200の仕様
●価格
参考:17万930円(税込み・Amazon 22/6/24現在)
●ランニングコスト
A1ポスター:約63円
●対応カートリッジ
PFI-120MBK 顔料マットブラック130ml
PFI-120BK 顔料ブラック130ml
PFI-120C 顔料シアン130ml
PFI-120M 顔料マゼンタ130ml
PFI-120Y 顔料イエロー130ml
PFI-320MBK 顔料マットブラック300ml
PFI-320BK 顔料ブラック300ml
PFI-320C 顔料シアン300ml
PFI-320M 顔料マゼンタ300ml
PFI-320Y 顔料イエロー300ml
※130ml容量 約6000円~、300ml容量 約1万4500円(Amazon 22/6/24現在)
スキャナー一体型の大判プリンター HP「DesignJet T830SE MFP A1モデル F9A28L#BCD」
大判プリンターに、スキャナーの機能も搭載した製品です。A1以上のサイズの原稿も読み取れるので、印刷したポスターに修正点などを書き込み、それを読み取ってTIFFやJPEG、PDFの形で、関係者と共有できます。プリンターの用途が、さらに広がる製品です。
【参考】
HP DesignJet T830SE MFP A1モデル F9A28L#BCD
DesignJet T830SE MFP A1モデル F9A28L#BCDの特徴
・スキャナーの機能を備えた大判プリンター
本製品は、610×2770mmのサイズの原稿に対応したスキャナー機能があります。通常の複合機では不可能な大きさの原稿が読み取れるのです。読み取りモードはカラー、グレースケール、モノクロの3種類があり、読み取り解像度は、200dpi、300dpi、600dpiから選択できます。
・複合機ながらコンパクトなサイズ
本製品のサイズは、1098×629×320mmです。スキャンやコピーもできる複合機ながら、プリント機能のみの製品とほぼ同等のコンパクトなサイズです。
・セルフで交換できるプリントヘッド
本製品はプリントヘッドが市販されているので、セルフで交換できます。修理のせいで、仕事を止めずに済むでしょう。インクカートリッジも大容量の300ml容量が用意されていて、インク補充で割かれる時間が少なく済みます。こういったメンテナンスにかかる時間を短縮して、業務効率を上げられる製品です。
DesignJet T830SE MFP A1モデル F9A28L#BCDの仕様
●価格
参考:21万9430円(税込み・Amazon 22/6/24現在)
●ランニングコスト
A1 CAD:約4.3円
●対応カートリッジ
HP728B 3WX26Aブラック130ml
HP728 F9J67Aシアン130ml
HP728 F9J66A マゼンタ130ml
HP728 F9J65Aイエロー130ml
HP728B 3WX30Aブラック300ml
HP728 F9K17Aシアン300ml
HP728 F9K16Aマゼンタ300ml
HP728 F9K15Aイエロー300ml
※130ml容量 約7800円~、300ml容量 約1万7700円~(Amazon 22/6/24現在)
大判プリンター5機種のスペック比較表
製品名 | SC-T2150 | SC-P7550 | TA-20 | TM-200 | T830SE MFP A1モデル |
---|---|---|---|---|---|
メーカー | EPSON | EPSON | Canon | Canon | HP |
発売年 | 2020年 | 2019年 | 2019年 | 2018年 | 2021年 |
参考価格 | 11万4988円 | 39万9880円 | 12万9800円 | 17万930円 | 21万9430円 |
本体サイズ(幅×奥行×高さmm) | 970×505×230 | 1401×667×1218 | 982×748×438 | 982×748×439 | 1098×629×320 |
印刷速度 (A1ポスター) |
約43秒 | 2分 | 約49秒 | 約44秒 | ― |
印刷解像度(dpi) | 2400×1200 | 2400×1200 | 2400×1200 | 2400×1200 | 2400×1200 |
Wi-Fi | 〇 | × | 〇 | 〇 | 〇 |
ロール紙 用紙幅 |
297~610mm | 254~610mm | 203~610mm | 203~610mm | 279~610mm |
ロール紙 用紙厚 |
0.05~0.21mm | 0.08~0.5mm | 0.07~0.8mm | 0.07~0.8mm | ― |
印刷コスト (A1ポスター) |
約100円 | 約123円 | 約93円 | 約63円 | ― |
***
ポスター印刷にも使える大判プリンターをご紹介しました。本記事では、比較的安価なエントリーモデルを中心にご紹介しています。文字やイラストがメインになるポスターの場合は、安価なプリンターでも十分キレイな印刷ができます。
写真を中心にしたポスターを高精細で印刷したい場合は、10色以上のインクを搭載するような高性能のプリンターがおすすめです。本記事でご紹介した製品では、SC-P7550が写真も高精細で印刷できるモデルとなります。
大判プリンターには、ほかにもさまざまなタイプがあります。本記事も参考にしつつ、自社のニーズに合った製品を選んでください。
なお、ポスターをキレイに印刷するためには、用紙も大事です。松本洋紙店では大判プリンター用のロール紙も各種取りそろえて販売しています。大判プリンター導入の際は、用紙の購入も併せてご検討ください。
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