エプソンのプリンターの消耗品には、「メンテナンスボックス」というパーツがあります。古いプリンターにはなかったもので、一般的な家庭用プリンターだとエプソン以外ではあまり採用されていない機構です。
このメンテナスボックスは、どんな役割を持つものなのでしょうか? この記事では、これが採用されたモデルが得るメリットと併せて、メンテナンスボックスの詳細を解説します。
メンテナンスボックスが持つ役割とは?
メンテナンスボックスの役割は、廃インクを吸収することです。廃インクというのは、具体的には「印刷に使われなかったインク」です。
じつはプリンターの電源を入れたときやヘッドクリーニングを行ったときは、ヘッドの詰まりを予防・解消するためにインクを噴射します。当然ですが、このインクは紙に付着しません。こういったメンテナンスで生じる廃インクは、吸収体に吸わせているのです。
【参考】
メンテナンスボックス 型番:EPMB1
メンテナスボックスが採用されていない機種では、廃インクは「廃インク吸収パッド」に吸収されています。この廃インク吸収パッドをユーザーが自分で取り外して交換できるようにしたものがメンテナンスボックスなのです。
メンテナンスボックスが採用されたモデルのメリット
メンテナンスボックスが採用された機種の場合、メンテナンスボックスを購入すれば、ユーザー自身で交換ができます。これに対して、従来からの廃インク吸収パッドを採用したモデルは、ユーザー自身でパッド交換ができず、メーカーに修理という形で依頼することになります。
修理対応の場合、プリンターをメーカーに送る手間や時間もかかります。また購入して時間が経ったプリンターの場合は、修理に必要なパーツが生産終了していて、パッドの交換ができない事態も起こり得ます。
メンテナンスボックスを採用した機種なら、メンテナンスボックスを購入しておけばすぐ交換できます。そのうえ、メンテナンスボックスが入手できる限りは、交換パーツの生産が終了していてもプリンターを使い続けられるのです。
プリンター購入時は、メンテナンスボックスを気にするべき?
ここまでの情報をまとめると、メンテナンスボックスが採用された機種は、ユーザーにとって大きなメリットがあります。とくに仕事でプリンターを使用う人にとっては、修理に出してプリンターが手元にない状態ができるのは致命的です。
一方で、プリンターの使用頻度が高くない人にとっては、メンテナンスボックスがなくてもデメリットはそこまで大きくありません。吸収パッドに廃インクが溜まりきる頃にはプリンターの耐用年数を迎えていて、買い替えた方がいいという場合もあり得るからです。
キヤノンの最新機種を見てみると、インクカードリッジを使用する家庭用プリンターのXK100やTS8530ではメンテナンスボックスは採用されていません。しかし、特大容量タンク ギガタンクを搭載しているビジネス用プリンターのGX7030やGX6030ではメンテナンスボックスが採用されています。
これは、印刷枚数が多く、プリンターが使えない悪影響が大きいビジネス用のプリンターだけに、セルフメンテナンスの必要性が高いと判断したからではないでしょうか。
結論としては、メンテナスボックスの有無は、プリンターの機種選定にあたって考慮すべき要素の一つではありますが、絶対的な基準ではないということです。プリンターの使用頻度やプリンターが修理で使えない期間が生じたときの問題を考慮して、メンテナスボックスの有無がどの程度、プライオリティが高いかを判断するといいでしょう。