もうすぐ夏休みではありますが、学校では生徒や保護者向けに、大量の印刷物を作る機会が多くなります。学校の広報誌を作成したり、遠足のしおりを作ったりと、先生も役員さんも大忙しではないでしょうか。子どもの興味を引くように、保護者がわかりやすいようにと、いろいろな工夫をしながら印刷物を作るのはなかなか大変です。
もちろん、そういった印刷物を業者に発注して作成する場合もありますが、最近はプリンターでもきれいに印刷ができるので、印刷物を手作りする学校も多くなっています。こうした印刷物をきれいに仕上げるには、デザインや内容はもちろんですが、紙にこだわるのもおすすめ。ここでは学校行事用の大量手作り印刷物に適した用紙の選び方や、作り方などをご紹介します。
広報誌やプログラム、しおりなど、作るものによって適した紙を使う
学校行事で配布する紙はいろいろありますが、作るものによって適した紙を選ぶことが大切です。見栄えを重視する場合もあれば、書き込むことを前提に作るものもあります。もちろんコストの問題もあるでしょう。大量に作成するからこそ、コストをかけるものとそうでないものをきちんと判断して、必要な配布物にコストをかけられるようにすることもポイントです。
紙は、質感や素材、色、厚さなどによってたくさんの種類があります。紙の販売は100枚単位のものも多いですが、大量に印刷する学校だからこそ、配布物によって紙を使い分けるなんてこともできそうですね。
配布物の作り方と紙選びのポイント
ここからは、作成する配布物に合った紙を紹介してきます。
広報誌
一般的に広報誌に多く使われているのは、コート紙です。チラシなどに多く使われている光沢のある紙で、カラーもきれいに発色するので、カラーで写真などを掲載する場合はコート紙で作成するのがおすすめです。
厚みのある方が高級感はありますが、厚くなるにしたがって価格も高くなります。少し光沢を抑えたマット紙などを広報誌に使うのもおすすめです。コート紙よりも高級感があります。予算に余裕があるときは、こうした紙にこだわるのもいいでしょう。
注意点としては、コート紙やマット紙は、種類によっては使えるプリンターが限られる点です。インクジェットプリンターでもレーザープリンターでも使えるものもあれば、レーザープリンターしか使えないものもあり、両方とも無理で業者に依頼するしかないものもあります。上質紙ならプリンターを選ばないので、モノクロで作る場合は上質紙で作ってもいいかもしれません。
実際の広報誌作成は、用紙の大きさに合わせてパソコンでレイアウトを行い、そこに文字や写真を入れて印刷することになります。バランスよくレイアウトしたいなら、パソコンで作業する前に、用紙のサイズの紙に手書きで簡単なラフレイアウトを組むのがコツです。イラストを入れたり、配色を工夫したりして、素敵な広報誌を作成してみましょう。
しおり
行事のたびに子どもに配布するしおりは、子どもが行事の準備をするときはもちろん、その当日にも持ち歩いて何度も見返すことになります。また、先生に言われたことや、補足などを書き込むこともあるでしょう。そうなると、丈夫かつ鉛筆で書き込める用紙が候補になります。
こうした条件で選ぶと、マット紙や、厚みのあるMS上質紙などがおすすめです。冊子にする場合は、表紙のみ厚みのある紙にして、中は普通の紙を使った方が使いやすくなります。かわいいイラストを入れて作る方が喜ばれるので、絵に自信がない人は無料のテンプレートや素材を活用しましょう。しおり作成の無料テンプレートが使えるサイトを利用するのもおすすめです。
賞状
賞状は、印刷されたものも販売されていますが、用紙だけそろえておけば、必要なときに必要な分だけ印刷できます。自作なら表彰状はもちろん、皆勤賞や努力賞など、いろいろな賞状が作れることもメリット。無料のテンプレートもたくさんあるので、デザインにも困りません。
賞状の用紙は、MSケント紙がおすすめです。ホワイトでもかまいませんが、ナチュラルやクリームなどアイボリーがかった色合いも、賞状にはおすすめ。松本洋紙店では、無地のケント紙のほか、枠に鳳凰を金刷りした賞状用紙も販売しています。
【参考】
インクジェット用高級賞状用紙プレミアパール(ヨコ型)
運動会などのプログラム
運動会などのプログラムは、両面に印刷した一枚の紙を二つ折りにしたものが主流です。屋外でも風にはためかないように、ある程度厚みがあり、丈夫で、目に留まりやすいようなカラフルな用紙をが向いています。文字の読みやすさも大切なので、黒字が読みやすいパステルカラーのような明るい色の紙を使うとよいでしょう。
用紙としては、MS上質紙や、マットのほか、紙そのものに独特の質感を持つレザックやマーメイドなどがおすすめです。どれも両面印刷ができるので、プログラム向きの紙です。運動会のかわいいイラストを入れたり、テンプレートを使ったりして、わかりやすいプログラムを作りましょう。
記念誌
何十周年などの節目には、学校で記念誌を作って配布することも多いです。記念誌は長期保存を念頭に作られるため、丈夫な紙を使って、高級感のある仕上がりにします。印刷する場合は、コート紙やマット紙、アート紙など、ある程度の光沢があって、カラーの発色が良いものを使うとよいでしょう。
記念誌の場合は、製本も含めて業者に依頼することもよくあります。これまでの学校の歴史や、現在の姿、子どもたちの写真などをクリアに残せる素敵な記念誌を作ってはいかがでしょうか。
印刷物を作るときの注意
学校印刷物を作るときに、まず注意したいのは著作権です。著作権法では、学校の授業で使う場合には、キャラクターなど著作権の関係で一般的には複製できないものも使用が許されます。しかし、広報誌などは授業の過程での複製利用とはみなされません。そのため、かわいいからといって、広報誌に著作権の許諾が必要な人気キャラクターなどを掲載すると、違法になる使わないようにしましょう。
また、個人情報も慎重に取りあつかう必要があります。広報誌に写真を載せる場合は、掲載を不可としている子どもや、学校関係者ではない一般人が写り込んでいないか、チェックもきちんと行いましょう。
プログラムや賞状などを印刷する際の注意点としては、コピー紙よりも厚みがあるので、紙詰まりを起こしやすくなります。プリンターがその厚さに対応しているかを確認し、厚さを設定してから印刷するようにしましょう。
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学校では、連絡事項などのお手紙のほかにも、広報誌やプログラムなどたくさんの印刷物を作成します。最近はインターネットに無料で使える便利なテンプレートなもありますし、プリンターの性能も優れているので、学校内で印刷することも可能になりました。
こうした印刷物のクオリティを上げるコツは、それぞれに合った用紙を選ぶことです。紙にはいろいろな種類があって、質感や厚み、色などを好きに選ぶことができるので、適したものを選んで使ってみてくださいね。