1983年の連載開始以来、多くの人に愛されている名作「島耕作」シリーズ。その時代の潮流を反映させながら、島耕作という1人のサラリーマンの仕事ぶりや生き様が描かれています。
「課長 島耕作」から始まった本シリーズは、部長、取締役、常務…と、主人公・島がどんどんと出世を遂げていくのが特徴です。今回は、ついに島が会社のトップにまで上り詰めた「社長 島耕作」の概要や見どころ、名言を解説します。
「社長 島耕作」とは
「島耕作」シリーズ第6弾となる「社長 島耕作」。講談社の漫画雑誌「モーニング」にて連載が始まった2008年には、実際の新聞に島耕作の社長就任が取り上げられたり、社長就任会見が開かれたりと、大きな話題となりました。
島が務める大手電機メーカーの初芝電器産業は、前作「専務 島耕作」の最後でライバル企業の五洋電機と経営統合しました。そして新たに初芝五洋ホールディングスが設立され、そのトップとして島が就任します。島社長は「シンクグローバル(think global)」をスローガンとして設定し、さらに世界へ市場を広げる挑戦を開始するのです。
「社長 島耕作」のここが見どころ
初芝五洋ホールディングスの初代社長となった島は、さらに自社の製品を世界へ広めるために奮闘します。初芝五洋ホールディングスと子会社の初芝電産、五洋電機を統合し、新ブランド「TECOT(テコット)」を立ち上げ、社名もブランド名と同じ名前に変更します。
しかし、島の社長業は順風満帆ではありませんでした。現実世界と同様にリーマン・ショックをきっかけとする急激な世界不況のあおりを受け、経営は赤字に転落します。さらに、終盤では東日本大震災への企業として対応する姿も描かれました。
プライベートでは長年の付き合いだった大町久美子と64歳にして結婚。「島耕作」シリーズといえば、島の奔放な女性関係も特徴ですが、以降は、島が大町久美子以外の女性と肌を重ねるシーンはなくなっています。
「社長 島耕作」の名言を紹介!
ここからは、「社長 島耕作」に登場する名言をご紹介します。
「機を逃すことが一番やってはならないことです」
島はリチウムイオン電池の安定生産を目指し、中国企業との合弁会社設立を決めます。しかし、社外取締役からは、中国企業に自社の技術情報を知られるのはリスクだと反対されてしまいました。そこで島は、いまは最新の技術であっても数年後には過去のものとなる業界の進歩の速さを挙げ、一瞬の機会を逃してはならないと語ります。
目まぐるしく進化していく家電業界のなかで、リスクがあると知りながらも即時に最善の行動を決められる、島の判断力が表れているセリフです。
「トップに必要なものは方向性を明確に示す力と間違った時に素早い決断を示す力だと思っています」
島が社長に就任して2年が経ったころ、会長の万亀たちと屋形船での会食中に、島が語った言葉です。上に立つ者に必要な資質は「間違わないこと」ではなく「間違いを認め素早く正すこと」だと、島は自身のリーダー論を語りました。どんなに出世しても決して威張った姿勢を取ることなく、等身大の姿を見せ続けてきた島らしいセリフです。
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島はついに、会社員のトップである社長にまで上り詰めました。しかし、穏やかな気質で周囲の人々を魅了し、顧客や部下のため誠実に邁進していく島の姿は、課長のころから変わりません。
大企業のトップとして世界へ挑戦する島の姿を「社長 島耕作」にて、ぜひご覧ください。