「島耕作」シリーズは、1人のサラリーマンの仕事ぶりや生き様をリアルに描く、言わずと知れた名作漫画です。シリーズを経るごとに主人公・島耕作は課長、部長、取締役、常務…と、どんどん出世を遂げていきます。
そんな「島耕作」シリーズのなかから、今回ご紹介するのは、第8段「相談役 島耕作」です。概要や見どころ、名言をまとめました。
「相談役 島耕作」とは

「相談役 島耕作」は、「島耕作」シリーズ第8弾となる作品。前作「会長 島耕作」の最後で会長を退いた島は、大手電機メーカー「テコット」の相談役に就任。会長職から給料は100分の1となりましたが、会社や日本経済のためにこれまでと変わらず奮闘していきます。
2019年から2022年まで連載されていた本作は、時事問題もふんだんに取り入れられているのが特徴です。2020年の東京オリンピック・パラリンピックを絡めたスポーツビジネスや、新型コロナウィルス(以下、コロナ)流行の影響などが、ビジネスマンとしての視点から描かれています。
「相談役 島耕作」のここが見どころ
「相談役 島耕作」が連載されていた2020年前後は、コロナにより世界中が大ダメージを受けた時代です。「島耕作」の世界でも、コロナ禍がリアルに描かれています。さらに、73歳の島もコロナに感染した姿が描かれ、実際のニュースサイトでも取り上げられ話題となりました。
島がコロナに感染するエピソードは「島耕作シリーズ」の作者・弘兼憲史さんが、実際に感染した知人の体験談をもとにして描いたそうです。作中では、ホテルでの隔離生活や、味覚障害の様子などが詳細に語られています。
また「相談役 島耕作」では、これまで「島耕作」シリーズに登場した有能な女性たちが登場しているのも見どころのひとつです。「部長 風花凜子の恋 ~会長 島耕作 特別編~」の主人公・風花凜子は、42歳の若さでテコットの新社長に就任。旧体制の強い経営陣の中で、会社を変えていこうとしていきます。中盤には「課長 島耕作」にて、島の部下だった鏡晴美が風花の右腕に。パワフルに女性社長の補佐を努め、島にもアドバイスをするなど、作中で重要なポジションを担っていきます。
「相談役 島耕作」の名言を紹介!
ここからは、「相談役 島耕作」の名言を紹介します。
学歴や職業なんてそんなものはどうでもいい。一度全部棄ててしまえ
島はテコットの元常務・長須と再会。退職後に長須は町内会の役員となりますが、周囲の人々を見下していたため、孤立して町内会を追い出され、抜け殻のように暮らしていました。仕事から離れた自分が何者でもないことを痛感し、呆然とする長須に、島は自分が人々より上の立場であるという勘違いを捨てるよう諭し、このセリフで長須を叱責します。大企業の相談役という立場にありながら、決して驕らず周囲から愛され続ける島が言うからこそ、説得力のある言葉です。
「バカは死ななきゃ治らない」って言うけど、仕事人間も同じね
「相談役 島耕作」の最終回・第60話にて、島は入社以来50年以上務めてきた会社を辞めることを妻の久美子に告げます。久美子は驚くでもなく「潮時かもね」と一言。さらに島が、今度は社外取締役のオファーを受けると語ると、この言葉を返しました。仕事へなによりも情熱を注ぐ島を、よく理解する久美子の愛が感じられるセリフです。
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島が半世紀以上も務めた会社での集大成を描く「相談役 島耕作」。現実とリンクした時事問題もリアルに取り上げられるなかで、70代の島の活躍が見られるこの作品を、ぜひご覧になってみてはいかがでしょうか。