万年筆の初心者が、ボールペンとの大きな違いとして戸惑いがちなことの1つが、“インクの乾きにくさ”です。せっかくキレイに書いた文字も、インクが乾かないうちに手や物でこすったら台無しになってしまいます。さらには、手帳やノートに書いた文字が反対側の紙に写るなんてことも…。
そんなときに役立つのが「吸取紙」です! これを手帳に挟んでおけば、万年筆のインクの乾きにくさに悩むことなくなります。この記事では、そんな万年筆を使うならぜひ知っておきたい吸取紙についてご紹介します。
万年筆の必需品!吸取紙とは
「吸取紙」は、その名の通り、インクや水分をよく吸収する紙です。書いた文字の上に当てて軽く抑えれば、万年筆で書いた文字の余計なインクをサッと吸い取れます。
手帳やノートに書くときによく万年筆を使うなら、吸取紙をしおり代わりに1枚、挟んでおくのがおすすめです。万年筆で文字を書いた後に吸取紙をそっと乗せれば、インクの乾きを待つことなく、すぐにノートや手帳が閉じられます。
吸取紙は、ブロッターという道具とセットでも使われます。ブロッターは、捺印部分がかまぼこ形になったスタンプのような見た目の道具で、吸取紙とセットで使って万年筆やハンコのインクを乾きやすくします。使い方は、曲面部分に吸取紙を巻き付けて、書いた文字の上から抑えるだけ。これで、インクをしっかりと吸い取ってくれます。松本洋紙店では、A4~1、全判のほか、ブロッター用の吸取紙も取りあつかっています。
また、吸取紙はインクを吸い取る以外の用途でも使われています。たとえば、コップの水滴を吸い取るコースターや、冬場の結露を防止する素材などです。速乾性も高いため、液体を吸い上げ、蒸発して拡散させる芳香剤の芯としても、この吸取紙が利用されています。
失敗から生まれた!?吸取紙の歴史
さまざまな用途がある吸取紙ですが、実は、作られたのは偶然だったという説があります。
吸取紙が生まれたのは、19世紀の後半頃のイギリスです。あるとき、紙を作る工場の職人が、紙にインクがにじまないようにするための薬剤を入れ忘れてしまったのだそうです。できあがった紙は、商品にならないとみなされて工場の片隅に放置されました。しかし、そのあとにこの紙が水をよく吸うことに気が付きます。
そこで失敗作だった紙を、インクを吸い取るための道具として販売。それまでヨーロッパではインクを乾燥させるために砂を振りかけていたそうで、手軽に使えて砂を掃除する必要のない吸取紙は、またたく間に広まったといわれています。
日本では、明治に入りインクが輸入されてから、吸取紙も普及されました。現代ではインクが進化して乾きやすくなったこともあり、あまり使われなくなりましたが、それでも万年筆を愛用する方や、インク以外にも水分を吸収するためのものとして、便利に使われています。
***
吸取紙は、万年筆の余計なインクを吸い取って、書いた文字の乾きを早くするための紙です。万年筆を持っている方なら、1枚手帳などに挟んでおくと便利ですね。
ハンコを押した後や、コースター、窓の結露防止などにも使えます。現代では見かける機会が減っていますが、万年筆を使っていない方も、「こんな紙があるんだな」とぜひ覚えておいてくださいね。
↓↓↓万年筆に向いている紙を松本店長が解説!松本洋紙店Youtubeチャンネル↓↓↓